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訪問リハビリテーションとは
対象・費用・通所リハとの違いを解説

退院後に通院や通所が難しいけれど、寝たきりにはしたくない。訪問リハビリはそのギャップを埋めるサービスです。対象者・費用・通所リハや訪問看護リハとの違いを、2024年改定後の厚労省データで整理しました。

訪問リハビリとは — 提供主体と対象者

訪問リハビリテーション(訪問リハ)は、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が利用者の自宅を訪問し、身体機能や生活動作の回復・維持を目的としたリハビリを提供するサービスです。

事業所として訪問リハを提供できるのは、病院・診療所・介護老人保健施設(老健)・介護医療院に限られます。つまり「医師が常勤で在籍している医療機関・介護施設」が母体であり、独立した訪問リハ専門ステーションは制度上存在しません。これは訪問看護ステーションとの大きな違いです。

対象になる人

ポイント:「通院できない」ことが訪問リハの基本条件です。元気に外出できる方は、通所リハ(デイケア)や外来リハが先に検討されます。

通所リハ・訪問看護リハとの違い

区分訪問リハビリ通所リハ(デイケア)訪問看護リハ
(PT/OT/ST訪問)
提供主体病院・診療所・老健・介護医療院病院・診療所・老健・介護医療院訪問看護ステーション
場所利用者の自宅施設に通う利用者の自宅
時間単位20分を1単位、週6回まで1〜2時間/3〜4時間/5〜6時間/6〜7時間/7〜8時間20分を1単位、看護職員の訪問の代替
医師関与事業所の常勤医が指示・計画書に関与事業所の常勤医が指示・計画書に関与主治医の訪問看護指示書
社会参加個別性高い、買い物・外出訓練も可他者交流・レク要素あり看護職員を置くのが難しい人員配置のときに注意

2024年改定では、訪問看護ステーションからのPT・OT・ST訪問について「理学療法士等の訪問」として基本単位や加算ルールが見直されました。看護職員の訪問が難しいステーションがリハ職訪問ばかりになる事例への対応です。訪問看護ステーションのPT/OT/ST訪問と、医療機関からの訪問リハは制度上別サービスであり、ケアプラン上の区分も異なります。

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の概要(訪問リハビリテーション/訪問看護)」。

2024年改定後の費用(介護保険)

基本報酬(1回20分あたり)

1単位は地域区分で10.00円〜11.40円(1級地〜その他)。仮に1単位10円で計算すると、1回20分のリハ総額は約3,080円、自己負担1割で約310円、2割で約620円、3割で約920円が目安です。

よく使われる加算(2024年改定後)

上限目安:要介護度ごとの区分支給限度基準額の範囲内で他の介護サービスと合算されます。たとえば要介護3は1か月あたり27,048単位が上限。訪問リハを週2回・各40分(=2単位)で月8回入れると16単位×308=約4,928単位を消費する計算になり、ほかの訪問介護やデイサービスとの組み合わせを意識する必要があります。

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」訪問リハビリテーション告示、居宅サービス等の区分支給限度基準額。

指示書とリハビリ実施計画書

訪問リハの実施には、事業所に所属する医師(または利用者の主治医と連携する医師)による指示と、リハビリ実施計画書が必須です。指示期間は最長3か月で、更新ごとに医師の診察と計画書の見直しが行われます。

流れ

  1. ケアマネジャーが訪問リハの必要性をアセスメント
  2. 主治医または事業所の医師が診察し、指示を出す
  3. PT・OT・STがリハビリ実施計画書を作成(本人・家族に説明し同意)
  4. 居宅サービス計画(ケアプラン)に位置づけて開始
  5. 少なくとも3か月に1回は医師の診察と計画の見直し

家族が知っておきたいこと

リハビリ実施計画書には「1か月後・3か月後の目標」「頻度」「担当セラピスト」が明記されます。漠然と「リハビリしてもらっている」ではなく、「歩行器で10m歩けるようになる」「トイレまでの移乗を自分でできる」のように、目標がはっきり書かれているかを見ることが大切です。

医療保険で訪問リハを受ける場合

介護保険の給付が医療保険に優先するのが原則ですが、以下の場合は医療保険の枠組みで、訪問看護ステーションからPT・OT・STが訪問してリハを提供することがあります。

この場合は訪問看護の一形態としてのリハ(「理学療法士等の訪問」)となり、訪問リハビリとは制度上別サービスです。高額療養費制度の対象で、月額自己負担には所得区分に応じた上限があります。

関連記事:訪問看護とは — 対象者・費用・訪問診療との違いでは医療保険・介護保険の切り分けを詳しく解説しています。

退院後の使い方・導入の流れ

退院前に決めておくこと

  1. 入院中のリハを担当したPT・OT・STに、退院後に必要なリハ内容を書面でまとめてもらう
  2. 退院前カンファレンスに、在宅のリハ担当者(訪問リハ事業所やケアマネ)を同席させる → 退院時共同指導加算600単位の対象
  3. 要介護認定が出ていない場合、退院までに区役所・地域包括で申請(暫定ケアプランで即日開始も可)

事業所を選ぶポイント

この記事の要点

  • 訪問リハは病院・診療所・老健・介護医療院からセラピストが訪問する介護保険サービス
  • 2024年6月改定で基本報酬は308単位/20分(1割負担で約310円)
  • 医師の指示とリハビリ実施計画書が必須。3か月ごとに見直し
  • 訪問看護ステーションからのPT/OT/ST訪問は制度上別サービス
  • 退院前カンファレンス同席で退院時共同指導加算600単位が算定できる

よくある質問

訪問リハと通所リハはどちらが良い?
どちらかではなく、状態や目的で選びます。通所が体力的に難しい方、生活動作(台所・浴室・玄関)を自宅環境で訓練したい方は訪問リハが向きます。体力が戻って交流や機器を使いたい方は通所リハが向きます。両方を組み合わせるケースも一般的です。
週何回までできる?
介護保険の訪問リハは1回20分を1単位として、原則週6単位(=120分)までです。週2回×40分(2単位ずつ)、週3回×40分など、事業所とケアマネで相談して配分します。区分支給限度基準額の範囲内で他サービスと調整が必要です。
どのくらいの期間続けられる?
介護保険では「状態の改善・維持」に必要な期間続けられます。ただし、漫然と継続するのではなく、少なくとも3か月ごとに医師とセラピストが計画を見直します。在宅生活が安定し自主トレで維持できるようになったら、通所リハや地域の体操教室に移行するのが一般的なゴールです。
家族もリハビリを手伝うの?
多くの訪問リハでは、セラピストが家族に「介助のコツ」や「自主トレの見守り方」を指導します。セラピストが来ない日は家族や本人で自主トレを続けることが、回復や維持の鍵になります。負担が重すぎると感じたら早めにケアマネに相談しましょう。
訪問リハから訪問看護リハに切り替えることはできる?
可能ですが、制度上別サービスのためケアプラン変更が必要です。訪問看護ステーションからのPT/OT/ST訪問を使う理由が明確(例:同じ事業所で看護と一体的に提供したい等)であることが前提になります。単に「同じリハビリ」とは言えないため、医師・ケアマネと相談してください。

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本記事の単位数・加算は厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」(2024年6月1日施行の訪問リハ関連)告示を一次情報として確認しています。地域区分や加算の組み合わせにより実際の金額は変動します。
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