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訪問歯科診療の使い方
摂食嚥下・口腔ケアを自宅で

「通院できないから歯医者は諦めている」——そんな家庭に届くのが訪問歯科診療です。虫歯・入れ歯の治療だけでなく、摂食嚥下評価や専門的口腔ケアも自宅で受けられます。対応内容・費用・依頼方法を整理しました。

訪問歯科診療とは

訪問歯科診療は、歯科医師・歯科衛生士が自宅や施設を訪問して歯科医療を提供するサービスです。医療保険適用で、通院が困難な方が対象。訪問エリアは診療所から半径16km以内が原則と歯科医療の基準で定められています。

対象となるのは、要介護・要支援の方、病気や障害で通院困難な方、寝たきりの方など。訪問診療を受けるには、本人または家族が歯科医院に申し込み、医療保険証・介護保険証(あれば)を提示します。

受けられるケア

一般歯科

口腔ケア

摂食嚥下関連

対応が難しいこと

外科処置(埋伏智歯抜歯等)、インプラント、矯正治療など大きな設備が必要な治療は、訪問では限定的。必要に応じて外来受診の提案や、病院歯科への紹介となります。

費用の仕組み

訪問歯科診療は医療保険が基本で、治療内容と訪問時の加算で構成されます。介護保険の対象となる項目(居宅療養管理指導)もあります。

医療保険分

介護保険分(居宅療養管理指導)

実際には医療保険分+介護保険分の両方が請求されるケースが多く、1回あたり自己負担の合計は1,500〜3,000円程度が目安(治療内容により変動)。入れ歯の新調など高額治療は別途発生します。

出典:厚生労働省「診療報酬点数表」(令和6年度改定)/「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」/ 居宅療養管理指導費。

依頼方法

1. 訪問歯科を行う歯科医院を探す

2. 初回訪問の予約

電話で連絡し、訪問希望日・時間・本人の状態を伝えます。初回は診査・診断が中心で30〜60分程度。

3. 治療計画の策定・同意

初回後、治療計画・費用見込みを説明してもらい、同意して継続訪問へ。

4. 継続訪問

治療内容に応じて週1〜月1回のペースで訪問。症状が安定したら定期口腔ケアに移行します。

誤嚥性肺炎予防としての口腔ケア

高齢者の口腔ケアは、虫歯予防以上に誤嚥性肺炎の予防として重要です。口腔内の細菌が唾液や食べ物と一緒に肺に入ることで起きる誤嚥性肺炎は、高齢者の死因上位を占めます。

口腔ケアの効果:専門的な口腔ケアを継続することで、発熱・肺炎罹患率が低下するという研究結果があります(米山ら、老人保健施設研究より)。寝たきりや経管栄養の方ほど口腔内環境が悪化しやすく、定期的なケアが欠かせません。

家族ができる日常口腔ケア

専門的ケアは訪問歯科衛生士に月1〜4回依頼し、日常ケアは家族・ヘルパーが行う組み合わせが理想的です。

この記事の要点

  • 通院困難な方向けの歯科医療。自宅・施設で受けられる
  • 虫歯治療・入れ歯・口腔ケア・摂食嚥下評価まで対応
  • 医療保険+介護保険(居宅療養管理指導)の組み合わせ
  • 1回自己負担は1,500〜3,000円程度
  • 誤嚥性肺炎予防の観点から定期的な専門ケアが重要
  • かかりつけ歯科・歯科医師会・市町村の連携窓口から探す

よくある質問

訪問歯科はどこで探せる?
まずかかりつけ歯科医に訪問対応の可否を確認。なければ地域の歯科医師会に連絡(「訪問歯科」で検索で見つかります)。市町村によっては「口腔保健センター」や「在宅歯科医療連携室」が紹介窓口となります。ケアマネジャーに相談しても地域の情報を得られます。
どんな設備で治療するの?
訪問歯科専用の機材(ポータブル診療機器、小型ユニット、吸引装置、ポータブルX線等)を歯科医師が持参します。自宅のベッドや布団の上で治療が可能。床に広めのスペース(3畳程度)と電源の確保をお願いされる程度です。
認知症で口を開けてくれない。治療は無理?
認知症の方への対応経験が豊富な歯科医師もいます。家族がそばに付き添い、本人の安心感を保つ、声かけを丁寧に行う、段階的に慣らすなどの工夫で治療可能なケースが多くあります。初回訪問時は治療せずに関係づくりをする、という対応をしてくれる歯科もあります。
入れ歯が合わなくて困っている。訪問で調整できる?
入れ歯の調整は訪問歯科の得意分野です。咬み合わせの調整、破損修理、必要に応じて新調も可能。ただし大がかりな製作工程(型取り後に技工士加工)が入るため、数回の訪問に分けて行います。
訪問エリアに制限はある?
歯科医療の基準で、診療所から半径16km以内が原則です。それ以外の地域は訪問歯科として算定できない場合があり、診療の継続性が担保されません。まずは自宅近隣の訪問歯科を探し、遠方の場合は歯科医師会に相談を。

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在宅医療の基礎 嚥下食の基礎 訪問看護の基礎
出典:厚生労働省「診療報酬点数表」(令和6年度改定)/ 歯科訪問診療料/「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」/ 居宅療養管理指導費(歯科医師・歯科衛生士)。本記事の内容は2026年4月時点。
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