定期巡回型とは — 2012年に創設された背景
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、定期巡回型)は、2012年(平成24年)4月の介護保険法改正で創設された比較的新しいサービスです。訪問介護などの在宅サービスが増加していても、重度要介護者の在宅生活を24時間365日支える仕組みが足りないという問題意識から整備されました。
制度上は「地域密着型サービス」に分類されます。指定権者は市区町村で、原則としてその市区町村に住民票のある人しか利用できません。これは、地域の実情に応じた整備を進めるためと、24時間巡回可能な距離に事業所を置くためという実務的な制約があるためです。
3つのサービスの組み合わせ
定期巡回型は、次の3つの機能を組み合わせて提供します。
- 定期巡回サービス:あらかじめ決まった時刻に1日複数回、介護職員が短時間訪問して排泄介助・服薬確認・安否確認などを行う
- 随時対応サービス:ケアコール端末(ナースコール型機器)で利用者が24時間呼び出せるオペレーター対応
- 随時訪問サービス:オペレーターの判断で必要に応じて駆けつける訪問
さらに「訪問看護サービス」(看護師による医療的ケア)を組み合わせる形態があり、これが「一体型」と「連携型」の違いになります。
使い方のイメージ:朝8時に起床・整容介助、昼12時に食事介助、15時に排泄介助、20時に服薬・就寝準備。夜中にトイレに行きたくなったらケアコールで呼ぶ。週1回看護師も訪問。こうした1日3〜4回の短時間訪問+24時間呼び出しが、月定額で利用できる形です。
一体型と連携型の違い
| 区分 | 一体型 | 連携型 |
|---|---|---|
| 訪問看護サービス | 同じ事業所で提供 | 別の訪問看護ステーションと連携して提供 |
| 事業所側の要件 | 看護師を配置 | 連携先との契約で代替 |
| 報酬 | 訪問看護あり/なしで別単位 | 訪問看護は連携先が別途算定 |
| 利用者のメリット | 一元的な連絡窓口・情報共有がスムーズ | 既に使っている訪問看護ステーションを活かせる |
2024年改定後の月額料金
定期巡回型の報酬は出来高制ではなく「1か月につき」の定額制です。2024年度改定では訪問介護と同様に基本報酬が約2.5〜4%引き下げられ、処遇改善加算の強化でバランスが取られました。
一体型(訪問看護サービスを行わない場合)
| 要介護度 | 月単位数 | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 5,446単位 | 約5,446円 |
| 要介護2 | 9,720単位 | 約9,720円 |
| 要介護3 | 16,140単位 | 約16,140円 |
| 要介護4 | 20,417単位 | 約20,417円 |
| 要介護5 | 24,692単位 | 約24,692円 |
一体型(訪問看護サービスを行う場合)
| 要介護度 | 月単位数 | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 7,946単位 | 約7,946円 |
| 要介護2 | 12,413単位 | 約12,413円 |
| 要介護3 | 18,948単位 | 約18,948円 |
| 要介護4 | 23,358単位 | 約23,358円 |
| 要介護5 | 28,298単位 | 約28,298円 |
連携型は一体型(訪問看護なし)と同じ基本単位で、訪問看護分は別の訪問看護ステーションが医療保険または介護保険で別途算定します。
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」定期巡回・随時対応型訪問介護看護 報酬告示(2024年6月1日施行)。1単位10.00〜11.40円の地域区分あり。
通常の訪問介護との使い分け
| 比較項目 | 定期巡回型 | 通常の訪問介護 |
|---|---|---|
| 料金 | 月定額 | 訪問1回ごとの出来高 |
| 24時間対応 | 制度上の標準 | 事業所ごとに異なる、夜間対応は別加算 |
| 訪問頻度 | 1日3〜4回以上が前提 | ケアプランに応じて柔軟 |
| 1回の時間 | 10〜20分の短時間が中心 | 20分〜1時間超まで選べる |
| 対象地域 | 事業所がある市区町村の住民のみ | 全国どこでも(事業所が受け入れ可能な範囲) |
| 看護との統合 | 一体型なら同じ事業所 | 別サービス(訪問看護)として利用 |
向いている人:
- 要介護3以上で、1日複数回の身体介護・服薬管理が必要
- 夜間の排泄介助・不安対応が必要
- 家族が遠方または就労で日中不在、24時間の見守り体制が欲しい
- 訪問看護と訪問介護を一元的に管理してほしい
向かないケース:
- 要介護1〜2で訪問回数が週数回程度 → 通常の訪問介護のほうが安い
- 1回あたり1時間以上のじっくりした支援が必要 → 通常の訪問介護か通所介護との併用が向く
- 事業所のある市区町村に住んでいない
導入の条件と家族が確認すること
導入の前提
- 要介護1〜5の認定を受けていること(要支援は対象外)
- 自宅に定期巡回型事業所を指定・整備している市区町村に住んでいること
- ケアプランで定期巡回型を位置付けることに同意していること
事業所選びのチェックポイント
- 一体型か連携型か(現在の訪問看護を変えたくないなら連携型)
- 看護師の配置体制(夜間もオンコール可能か)
- ケアコール端末の種類(据え置き型/ペンダント型/スマホ型)
- 訪問エリア(自宅まで10分圏内が目安)
- 緊急出動の実績件数
この記事の要点
- 2012年創設の地域密着型サービス。24時間365日対応が制度上の前提
- 月定額制。要介護5・訪問看護なし一体型で24,692単位(1割負担で約24,692円)
- 3サービス(定期巡回・随時対応・随時訪問)+訪問看護の組み合わせ
- 要介護3以上・1日複数回支援が必要な重度者に向く
- 市区町村外からの利用は原則不可。住民票のある自治体の指定状況を確認
よくある質問
他の介護サービスと併用できる?
通所介護(デイサービス)・通所リハ(デイケア)・ショートステイ・訪問入浴介護・訪問リハビリ・福祉用具貸与などは併用できます。ただし、サービス内容が重複する「訪問介護」「夜間対応型訪問介護」「訪問看護(一体型の場合)」とは原則併用できません。連携型で訪問看護ステーションを使うケースは例外です。
ケアコール端末は誰が操作する?
利用者本人が操作します。認知症等で操作が難しい場合、家族やセンサーで代替する運用もありますが、事業所と相談が必要です。ペンダント型・据え置き型・スマホアプリ型など事業所により機器が異なります。
随時訪問は何回まで呼んでいい?
回数の上限は制度上ありません。月定額制なので追加料金もかかりません。ただし、明らかに不要な呼び出しが頻発する場合はケアマネと事業所でプランを見直すことがあります。
特養に入る前のつなぎとして使える?
はい、特養入所待ちの重度者が在宅で生活を維持する手段として使われるケースがあります。特に夜間の介助負担が家族にのしかかっている場合、定期巡回型で夜の体制を組めば入所待機中の自宅生活が現実的になります。
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは何が違う?
看多機は「通い・泊まり・訪問介護・訪問看護」を1事業所で提供する別の地域密着型サービスです。定期巡回型は自宅のみ(通いや泊まりはなし)、看多機は通いや泊まりも含む、という違いがあります。在宅生活の維持に通所・宿泊も必要なら看多機、自宅中心で24時間体制が欲しいなら定期巡回型です。
本記事の単位数・制度要件は厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」(2024年6月1日施行の定期巡回・随時対応型訪問介護看護関連)告示および関連通知を一次情報として確認しています。市区町村による指定・整備状況は地域で大きく異なるため、実際の利用可否は保険者(市区町村介護保険課)で確認してください。