認知症在宅ケアの3つのサービス
認知症の方が在宅で暮らし続けるために特に重要なサービスは3つあります。それぞれ特徴が異なるため、症状の段階や家庭の状況に合わせて選ぶことが大切です。
1. 認知症対応型デイサービス
認知症の方だけを対象にした少人数制(定員12名以下)のデイサービスです。一般的なデイサービスでは大人数の環境に馴染めず、不安や混乱が強まる方がいます。認知症デイは少人数で落ち着いた環境を提供し、なじみの関係を作りやすい点が最大のメリットです。
地域密着型サービスのため、事業所と同じ市区町村に住所がある方のみが利用対象です。
2. 小規模多機能型居宅介護
「通い」「泊まり」「訪問」の3つのサービスを1つの事業所から柔軟に受けられます。認知症の方にとって、いつも同じ顔なじみのスタッフが対応してくれることは大きな安心につながります。症状の変動に応じて、今日は通い、明日は泊まり、と柔軟に組み替えられるのが強みです。
3. グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症の方が5〜9人の少人数で共同生活する施設です。「在宅」ではありませんが、「施設」よりも家庭に近い環境で生活でき、認知症の方が穏やかに過ごせる場として評価が高いサービスです。在宅介護が限界に近づいたとき、特養の前に検討すべき選択肢です。
3サービスが揃う市と1種しかない市
この3つのサービスが全て揃っている市と、1種類しかない市があります。当サイトの分析では、28の市区町村でグループホームしかなく、認知症デイも小多機もないことがわかっています。
GH・認知症デイ・小多機の3サービスの充実度を市区町村ごとに評価した分析レポートです。佐世保市は130施設で全国トップクラスの充実度。一方、泉大津市はわずか2施設と、65倍の差があります。
認知症ケアの地域力マップを見る
自分の市に3つのサービスがどれだけあるかを確認し、足りないサービスは隣接市も含めて検討しましょう(ただし認知症デイとGHは市内限定です)。長崎県は離島県でありながら、認知症ケアサービスが全国でも特に充実した独自のモデルを構築しています。
在宅での具体的な工夫(5つ)
サービスの利用と並行して、自宅での環境を整えることも重要です。認知症介護の負担を減らす5つの工夫をご紹介します。
1. 生活リズムを一定にする
起床・食事・入浴・就寝の時間をできるだけ毎日同じにしましょう。認知症の方は変化に弱く、「いつもと同じ」であることが安心につながります。カレンダーに日課を大きく書いて壁に貼るのも有効です。
2. 危険物を整理する
刃物、火器(ガスコンロ)、薬品を本人の手が届かない場所に移動します。ガスコンロはIHに切り替えるか、ロック機能付きに変更することを検討してください。玄関の鍵は内側から開けにくい二重ロックにすることで、徘徊リスクを減らせます。
3. GPS端末を活用する
外出時の徘徊が心配な場合、GPS端末(靴に入れるタイプや、お守り型)を活用しましょう。自治体によっては無料貸出制度があります。高齢者福祉課に問い合わせてください。
4. コミュニケーションのコツを覚える
「否定しない」「急かさない」「選択肢を少なくする」が基本です。本人の話の内容が事実と違っていても訂正せず、感情に寄り添う対応を心がけましょう。質問は「何を食べたい?」ではなく「うどんとお粥、どっちがいい?」と具体的に2択で聞くと答えやすくなります。
5. 介護者自身のレスパイトを確保する
認知症介護は24時間365日の対応になりがちです。デイサービスやショートステイを定期的に利用し、介護者が休める時間を意識的に確保してください。介護者が倒れてしまっては、在宅介護そのものが継続できなくなります。
よくある質問
まとめ
認知症の在宅介護で使えるサービスは「認知症デイ」「小規模多機能」「グループホーム」の3つが中心です。ただし、3サービスが揃っていない地域も多く、自分の市の状況を把握することが第一歩です。サービスの活用と在宅での工夫を組み合わせ、介護者自身の休息も確保しながら、無理のない介護を続けましょう。
認知症疾患医療センターや地域包括支援センターでも専門的な相談ができます。
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