落ち着いて。まず状況を整理する
突然のことで気持ちが動揺するのは当然です。まずは深呼吸をして、いま必要なことだけに集中しましょう。
最初にすべきことは「情報の整理」です。以下の項目を確認してください。
・親の病状と今後の見通し(主治医に確認)
・入院の見込み期間
・介護保険の認定を受けているか
・かかりつけ医の有無・お薬手帳の場所
・健康保険証・介護保険被保険者証の場所
・親の預金通帳・年金の受取口座の確認
全てを一度に解決する必要はありません。入院中・退院前・退院後と段階に分けて、一つずつ進めていきましょう。
入院中にやること(3つ)
1. 病院のソーシャルワーカーに相談する
入院先の病院には「医療ソーシャルワーカー(MSW)」がいます。退院後の生活の不安、介護保険の手続き、経済的な問題など、何でも相談できます。
ナースステーションで「ソーシャルワーカーさんに相談したい」と伝えてください。大きな病院では「地域連携室」「患者支援室」「退院支援室」などの名称で設置されています。
2. 介護保険の申請(入院中でも可能)
まだ介護保険の認定を受けていない場合は、入院中でも申請できます。認定調査は入院先の病院でも受けられます。
申請から認定まで約30日かかるため、退院に間に合うよう早めに動くことが重要です。
・家族が市区町村の窓口で申請(代理申請可能)
・地域包括支援センターに電話して申請代行を依頼
・病院のソーシャルワーカーに手続きのサポートを依頼
→ 介護保険の申請手順を詳しく見る
3. 退院後の生活環境を確認する
退院後に自宅に戻る場合、家の中の安全性を確認しておきましょう。
- 段差はないか(玄関、浴室、トイレ)
- 手すりは必要か
- ベッドの高さは適切か(布団からベッドへの変更が必要か)
- トイレまでの動線に障害物はないか
- 冷蔵庫の中身、食事の準備はどうするか
退院前にやること(3つ)
1. ケアマネジャーを決める
介護保険の認定を受けたら(または申請中であれば暫定で)、ケアマネジャーを選びます。ケアマネジャーは介護サービスの計画(ケアプラン)を作成し、サービス事業者との調整を行う専門職です。
・病院のソーシャルワーカーに紹介を依頼する(最も確実)
・地域包括支援センターに相談する
・市区町村の窓口で居宅介護支援事業所の一覧をもらう
ケアマネジャーへの報酬は全額介護保険から支払われるため、利用者の自己負担はありません。
2. 退院前カンファレンスに参加する
退院が近づくと、病院側が「退院前カンファレンス(退院前の打ち合わせ)」を開催します。参加者は主治医、看護師、ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、本人・家族です。
ここで退院後の生活について具体的に話し合います。不安なことは全てこの場で伝えてください。
- 退院後の医療ケア(服薬、通院、往診の有無)
- リハビリの継続方法
- 日常生活で必要な介助の内容
- 緊急時の連絡先と対応
3. 必要な福祉用具の手配
退院後すぐに必要になる福祉用具を、ケアマネジャーと相談して手配します。介護保険で月額レンタルできるものも多くあります。
- 介護ベッド(電動で背上げ・高さ調整ができるもの)
- 車いす
- 歩行器・杖
- 手すり(取り付け工事は介護保険の住宅改修で対応可能)
- ポータブルトイレ
退院後の最初の1週間
1. 訪問介護・訪問看護の開始
ケアプランに基づき、訪問介護(ホームヘルプ)や訪問看護が開始されます。初回は本人の状態確認やサービス内容の打ち合わせが中心です。
困ったことがあればケアマネジャーに連絡してください。サービス内容の調整は随時可能です。
2. 配食サービスの検討
退院後の食事の準備は大きな課題です。本人が調理できない場合、家族が毎日準備するのも負担がかかります。
自治体の配食サービス(補助あり・安否確認付き)や、民間の宅配弁当を活用しましょう。
・自治体の配食サービス:安価で安否確認付き。ケアマネジャーを通じて申し込み
・民間の宅配弁当:食事制限(塩分・糖質・たんぱく質)に対応。すぐに開始可能
→ お住まいの地域の配食サービスを探す
3. 見守り環境の整備
日中に一人になる時間がある場合、見守りの仕組みを整えましょう。
- 緊急通報装置(自治体の貸出制度がある場合も)
- 見守りカメラ・センサー
- 定期的な電話連絡の仕組み
- 近隣の方や民生委員への声かけ
遠距離介護の場合
親が遠方に住んでいる場合、頻繁に通うことが難しく、不安が大きくなりがちです。以下のポイントを押さえましょう。
遠距離介護で押さえるべきこと
- キーパーソンを明確にする:兄弟姉妹がいる場合、誰が主に対応するのか早めに話し合う。役割分担(手続き担当・資金担当・訪問担当)を決めておく
- ケアマネジャーとの連絡手段を確保する:電話やメールで定期的に状況を共有してもらう。月1回のモニタリング報告を依頼する
- 介護休業・介護休暇制度を確認する:会社の介護休業制度(通算93日)や介護休暇(年5日)を確認。雇用保険から介護休業給付金も支給される
- 交通費の軽減策:介護帰省割引(航空各社)の利用を検討。自治体によっては交通費の助成制度がある場合も
・配食サービスの手配(ネットから注文可能)
・見守りカメラの設置
・介護保険の手続き(地域包括支援センターへの電話相談)
・ケアマネジャーとの電話・メールでの連携
・通院の送迎サービスの手配
一人で抱え込まないために
突然の介護は、精神的にも肉体的にも大きな負担です。一人で全てを背負う必要はありません。
頼れる相談先
- 地域包括支援センター:介護に関するあらゆる相談の入口。無料で何度でも相談できます
- ケアマネジャー:介護サービスの調整だけでなく、家族の不安にも対応してくれます
- 病院のソーシャルワーカー:入院中の相談はここが最も頼りになります
- 市区町村の介護保険担当窓口:制度や手続きの詳細を教えてくれます
- 介護者の会・家族会:同じ立場の方と経験を共有できます。市区町村の社会福祉協議会に問い合わせてください
まとめ:最初の1週間のやることリスト
入院中
1. 病院のソーシャルワーカーに相談
2. 介護保険の申請(入院中でも可能)
3. 退院後の生活環境を確認
退院前
4. ケアマネジャーを決める
5. 退院前カンファレンスに参加
6. 必要な福祉用具を手配
退院後
7. 訪問介護・訪問看護を開始
8. 配食サービスを検討
9. 見守り環境を整備
全てを完璧にやる必要はありません。困ったら地域包括支援センターに電話してください。
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