療養通所介護とは医療ニーズ対応型デイの基礎
本記事は厚生労働省の公開データおよび各自治体の一次情報をもとに作成しています。一部にPR・広告を含む場合があり、その際は明示しています。
療養通所介護とは
療養通所介護は、2006年に創設された介護保険法上のサービスです。2018年4月から地域密着型サービスに位置づけられ、原則として施設所在地の市町村住民のみが利用可能になりました。
通常のデイサービスでは受け入れが難しい、常時医療ケアが必要な方を対象としたデイサービスで、看護師が手厚く配置され、医療処置を行いながら日中過ごせる環境が特徴です。
対象となる方
利用対象は、難病等を有する中重度要介護者またはがん末期の方で、常時看護師による観察を必要とする方です。具体的には次のいずれかに該当します。
- 難病等を有する重度要介護者(ALS・パーキンソン病関連疾患・多系統萎縮症等)
- がん末期の方
- 常時医療的ケアを必要とし、居宅での療養に支援が必要な方
具体的には、吸引、経管栄養、人工呼吸器管理、在宅酸素、褥瘡処置、中心静脈栄養、膀胱留置カテーテル等の医療ケアを日常的に受けている方が中心です。
人員・設備基準
人員基準(1利用単位あたり)
- 管理者:常勤の看護師
- 看護職員・介護職員:利用者1.5人に対して1人以上
- 看護職員:常時1人以上配置
- 機能訓練指導員:1人以上(兼務可)
定員
1単位あたり利用定員18人以下。
設備
- 専用区画(食堂・機能訓練室等):3㎡×利用定員以上
- 静養室(ベッド)
- 相談室
- 医療機器の設置・管理環境
訪問看護ステーションとの連携
利用者の主治医、訪問看護ステーション、訪問介護事業所との連携が制度上重視されています。在宅医療チームの一員として機能する設計です。
単位数(2024年度改定後)
療養通所介護は、提供時間に応じた単位数ではなく、月単位の包括報酬で設計されています(2024年改定で包括化)。令和8年度改定では単位数本体は変更されていません。
| 区分 | 月額単位 | 1割負担目安 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 12,785単位/月 | 約12,800円 |
| 要介護2 | 16,093単位/月 | 約16,100円 |
| 要介護3 | 20,053単位/月 | 約20,100円 |
| 要介護4 | 25,147単位/月 | 約25,200円 |
| 要介護5 | 30,555単位/月 | 約30,600円 |
※ 1単位10.00〜11.40円。月包括ゆえに利用日数・時間を柔軟に調整できる設計です。1日あたりの利用時間数に応じた単位数もあり、部分利用にも対応します。
加算としては、医療連携強化加算(月100単位)、重度者ケア体制加算(月150単位)、個別送迎体制強化加算(月100単位)等があり、処遇改善加算も別途乗ります(地域密着型通所介護と同じ加算率。令和8年6月からの加算Ⅰロで最大12.7%)。
出典:厚生労働省「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和6年度改定)/ 療養通所介護費。
通常のデイサービスとの違い
| 項目 | 療養通所介護 | 通所介護(一般デイ) |
|---|---|---|
| 対象 | 常時医療ケア要・難病・がん末期等 | 要介護認定者全般 |
| 看護師配置 | 常時1人以上(管理者も看護師) | 利用者10人超で1人以上 |
| 定員 | 18人以下 | 19人以上(通常規模型) |
| 報酬体系 | 月包括 | 日単位 |
| 受入可能な医療ケア | 吸引・経管栄養・人工呼吸器等 | 限定的 |
| 主治医・訪看との連携 | 制度上重視 | 必要に応じて |
通常のデイでは受け入れが難しい医療ケアを提供できる一方、事業所数は全国で限られています。地域によっては近隣に存在しないことも多く、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や訪問看護と組み合わせる在宅体制が現実的な選択肢になることも。
この記事の要点
- 地域密着型サービス(2018年位置づけ変更)、市町村住民のみ利用可
- 対象:難病・がん末期・常時医療ケア要の重度要介護者
- 看護師常時配置・管理者は看護師
- 月包括報酬(要介護度別に月12,785〜30,555単位)
- 吸引・人工呼吸器管理等の医療ケアに対応
- 事業所数が少なく、地域によっては近隣に存在しない
よくある質問
Q. 療養通所介護はどこで探せますか?
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(kaigokensaku.mhlw.go.jp)で地域名+「療養通所介護」で検索可能。ただし事業所数が全国的に少なく、近隣に存在しない地域もあります。主治医・訪問看護ステーション・ケアマネジャーに相談して広域の情報を得るのが現実的です。
Q. 人工呼吸器を使っていても利用できる?
療養通所介護の主な想定利用者の一人です。看護師が常時配置され、人工呼吸器の管理・アラーム対応が可能な体制が整っています。ただし事業所の個別体制で差があるため、契約前に対応実績を確認しましょう。
Q. 通常のデイサービスと併用できる?
併用は制度上可能ですが、療養通所介護が月包括報酬のため、併用の意義は限定的です。療養通所介護の月包括に含まれる日数を超えた日は通常デイを利用する、といった組み合わせが考えられますが、ケアマネジャーと要相談。
Q. 月包括報酬だと、利用日数が少ない月は損?
月包括のため基本単位は利用日数に関わらず同額ですが、実際には利用時間数に応じた単位数設定もあります。入院・体調不良等で長期間利用できない場合は、事業所と調整して報酬算定の有無を決めます。詳細はケアマネ・事業所にご確認ください。
Q. 療養通所介護が近くにない場合の代替策は?
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の通い枠、訪問看護の頻回利用、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など、在宅を軸にした医療ケア体制を組むのが現実的です。医療ソーシャルワーカーや主治医に相談して、地域で使える医療資源を組み合わせましょう。
出典:厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」/ 療養通所介護の人員・設備基準/「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和6年度改定)/ 療養通所介護費(月包括)。本記事の内容は2026年4月時点。