2026年4月時点で各区の公式サイトから取得した情報です。制度は変更される場合があります。詳細は各区の高齢福祉担当課にご確認ください。
23区の配食補助はなぜこんなに違うのか
東京23区はそれぞれが独立した基礎自治体(特別区)であり、高齢者向けサービスの設計は各区に委ねられています。国の介護保険制度の枠外にある配食サービスは、区の独自事業として運営されるため、補助額・対象者・利用回数に大きな差が生じています。
親の住む区によって、同じサービスを受けるのに自己負担が2倍以上違う――これは制度を知らなければ気づけない格差です。
23区 配食サービス補助 比較テーブル
以下は各区の高齢者向け配食サービス(行政の補助制度)の比較です。
| 区名 | 自己負担(1食) | 区の補助 | 対象年齢 | 回数上限 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 港区 | 320〜480円 | あり | 65歳以上 | 週7食 | 自己負担が最安 |
| 千代田区 | 350〜680円 | 350円/食 | 65歳以上 | 1日2食 | 365日配達、補助額最高 |
| 江東区 | 250〜585円 | あり | 65歳以上 | 週7食 | 常温・冷蔵選択可、塩分調整食 |
| 目黒区 | 277〜566円 | 263〜333円/食 | 65歳以上 | 1日1食 | 食形態が最も豊富(透析食・ペースト食も)。要介護認定が原則必要 |
| 足立区 | 定価-300円 | 300円引き/食 | 65歳以上 | 1日1食 | 2024年10月開始の新事業 |
| 台東区 | 515〜780円 | あり(月40食まで) | 65歳以上 | 月40食 | 年中無休、社協運営 |
| 新宿区 | 500円 | チケット制 | 65歳以上 | 平日昼食のみ | 昼食限定、土日祝なし |
| 江戸川区 | 500〜630円 | あり | 65歳以上 | 週3食以上 | 月〜土、電子申請可 |
| 墨田区 | 事業者による | あり | 65歳以上 | 1日2食 | ムース食、カロリー調整食対応 |
| 荒川区 | 事業者による | あり | 65歳以上 | 週1〜7食 | 昼食のみ対応 |
| 葛飾区 | 事業者による | あり | 65歳以上 | 週14食 | 利用枠が最大(昼夕×7日) |
| 中央区 | 570〜760円 | あり | 70歳以上 | 昼・夕 | 対象年齢が70歳以上と厳しい |
| 渋谷区 | 定価-150円 | 150円/食 | 75歳以上 | 1日1食 | 対象年齢75歳以上(要支援以上なら不問) |
| 中野区 | 事業者による | あり | 75歳以上 | 不明 | 対象年齢75歳以上 |
| 品川区 | 不明 | 不明 | 不明 | 週2回のみ | 利用回数が最小 |
| 練馬区 | 実費 | あり | 不明 | 不明 | 見守り事業と一体 |
| 豊島区 | 全額自費 | なし | 制限なし | 制限なし | 区の助成ゼロ。誰でも利用可 |
| 板橋区 | 全額自費 | なし | 65歳以上 | 制限なし | 区の助成ゼロ。事業者登録制 |
| 大田区 | 400〜700円 | なし | 65歳以上 | 団体による | 社協ボランティア運営 |
| 世田谷区 | — | — | — | — | 高齢者向け在宅配食の独自事業なし(会食サービスのみ) |
| 文京区 | 公式サイトに情報なし。高齢福祉課(03-5803-1213)に要確認 | ||||
| 杉並区 | 行政独自の配食事業を確認できず。高齢者在宅支援課(03-5929-1865)に要確認 | ||||
| 北区 | 公式サイトに情報なし。高齢福祉課(03-3908-9083)に要確認 | ||||
※2026年4月時点。各区公式サイトの公開情報に基づく。「事業者による」は区が事業者を登録・紹介するが価格設定は事業者に委ねている場合。
5つの格差ポイント
1. 自己負担額:港区320円 vs 台東区780円
最も安い港区は1食320円から利用でき、千代田区は1食あたり350円の補助が出ます。一方、台東区の特別食は780円、中央区のたんぱく質調整食は760円。同じ「区の配食サービス」で2倍以上の差があります。豊島区・板橋区に至っては区の助成が一切なく、全額自費です。
2. 対象年齢:65歳 vs 70歳 vs 75歳
大多数の区は65歳以上が対象ですが、中央区は70歳以上、渋谷区・中野区は75歳以上と10歳もの差があります。渋谷区は要支援・要介護認定があれば年齢不問ですが、元気な74歳以下の高齢者は利用できません。逆に豊島区は年齢制限すらなく、誰でも利用可能です。
3. 利用回数:品川区の週2回 vs 葛飾区の週14食
品川区は週2回のみ。新宿区と荒川区は昼食限定で夕食は不可。対して葛飾区は昼・夕で週14食(毎日2食)、千代田区・墨田区も1日2食対応。毎日の食事を配食に頼る一人暮らし高齢者にとって、この差は生活の質に直結します。
4. 食形態:目黒区が最も充実
目黒区は普通食に加え、糖尿病食・腎臓病食・透析食・やわらか食・ムース食・ペースト食と7種類以上の食形態に対応。江東区は常温と冷蔵を選べます。一方、多くの区は「きざみ・おかゆ対応」程度にとどまり、持病のある方は選択肢が限られます。
5. 世田谷区は高齢者向け在宅配食の独自事業がない
人口約92万人を擁する世田谷区には、高齢者向けの在宅配食サービスの区独自事業がありません(月1〜週1回の会食サービスのみ)。世田谷区にお住まいの方は、民間の配食サービスを直接利用する必要があります。
行政の配食事業は全国的に縮小傾向
東京23区内でも温度差がありますが、全国に目を向けるとさらに大きな変化が起きています。
- 横浜市は1995年から30年続いた高齢者食事サービス事業を2025年3月に廃止
- 神奈川県小田原市も2025年度から新規受付を中止。理由は「民間事業者が充実し行政の必要性が低下」
- 政令指定都市20市のうち、明確に行政委託型の配食を維持しているのは13市。横浜は廃止、福岡は民間移行済み
「民間で代替できるサービスは行政が手を引く」という流れの中で、お住まいの地域にどんな制度があるか、なくなった場合にどう備えるかを知っておくことが重要です。
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お住まいの区で使える制度を確認するには
- 区の高齢福祉担当課に電話する — 最も確実。「高齢者向けの配食サービスの補助制度はありますか」と聞けばOK
- 地域包括支援センターに相談する — 担当ケアマネがいれば、ケアマネ経由でも確認できます
- 区の公式サイトで「配食」「食事サービス」を検索する — ただし情報が見つかりにくい区もあります
まとめ
東京23区の高齢者向け配食サービスは、区によって自己負担額・対象年齢・利用回数・食形態が大きく異なります。港区の320円から豊島区の全額自費まで、同じ都内で2倍以上の格差があります。
全国的に行政の配食事業は縮小傾向にあり、横浜市は2025年3月に30年の歴史に幕を下ろしました。お住まいの地域の制度を確認し、行政の補助があるうちに活用することをおすすめします。
当サイトでは全国216市区町村の配食委託事業データを収集・公開しています。