GUIDE 03

訪問看護の費用と保険
―― 自己負担・介護保険・医療保険

「月にいくらかかるのか」を知るために、訪問看護の料金体系・保険ごとの自己負担・加算の種類を整理しました。

訪問看護の料金体系

訪問看護の費用は「訪問時間 × 単価(単位数)」で決まります。訪問介護と同様に、介護保険の場合は「単位数 × 地域単価 × 自己負担割合」で自己負担額が計算されます。

訪問看護は訪問介護より単価が高めです。これは看護師などの医療専門職が行うサービスであるためです。ただし基本料金だけでなく、さまざまな「加算」が上乗せされることが多い点にも注意が必要です。

POINT 費用は保険の種類によって異なる

訪問看護は介護保険と医療保険のどちらかが適用されます。介護保険と医療保険では料金の仕組み・自己負担割合・利用回数の上限が異なります。どちらが適用されるかは疾患や要介護認定の状況によります。

介護保険適用の場合

要介護1〜5または要支援1〜2の認定を受けている方は、原則として介護保険が適用されます。自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割のいずれかです。

1割
負担
一般的な所得の方
(多くの方が該当)
2割
負担
一定以上の所得がある方
(現役並み所得未満)
3割
負担
現役並み所得がある方
(高所得者)

介護保険での訪問看護 基本料金(看護師の場合)

訪問時間 単位数 1割負担の目安
20分未満 313単位 約320円/回
30分未満 470単位 約480円/回
30分以上〜1時間未満 821単位 約840円/回
1時間以上〜1時間30分未満 1,125単位 約1,150円/回

理学療法士等による訪問看護(リハビリ)の場合

訪問時間 単位数 1割負担の目安
1回あたり(20分) 293単位 約300円/回
1日2回(40分) 293単位 × 2 約600円/回
1日3回(60分) 293単位 × 3(3回目は90%) 約850円/回

※2024年度介護報酬改定に基づく目安。地域加算により地域によって金額は異なります。

注意 区分支給限度額に含まれる

介護保険での訪問看護は、訪問介護やデイサービスなどと合わせて区分支給限度額の対象になります。限度額を超えた分は全額自己負担です。訪問看護は単価が高いため、他のサービスとの組み合わせをケアマネジャーとよく相談してください。

医療保険適用の場合

以下に該当する方は、要介護認定を受けていても医療保険が優先して適用されます。

医療保険が適用される主なケース

ケース 内容 訪問回数の上限
厚労大臣が定める疾病等 末期がん・ALS・パーキンソン病関連疾患・多発性硬化症・人工呼吸器装着者など 制限なし(週4日以上も可能)
特別訪問看護指示書 急性増悪・退院直後など頻回の訪問が必要な場合(14日間限定) 制限なし(期間中毎日も可能)
精神科訪問看護 精神疾患を有する方(精神科訪問看護指示書が必要) 原則 週3日まで
要介護認定を受けていない方 40歳未満の方、40〜64歳で特定疾病以外の方など 原則 週3日まで

医療保険での自己負担割合

年齢・区分 自己負担割合
69歳以下 3割(健康保険の一般的な負担割合)
70〜74歳 2割(現役並み所得は3割)
75歳以上(後期高齢者) 1割(一定以上の所得は2割、現役並みは3割)
指定難病・小児慢性特定疾病 自己負担上限額が設定される(月額上限あり)
POINT 医療保険は区分支給限度額の対象外

医療保険での訪問看護は介護保険の区分支給限度額には含まれません。そのため、介護保険で他のサービス(訪問介護・デイサービスなど)を限度額いっぱいまで使いつつ、訪問看護は医療保険で別枠として利用できます。

主な加算の種類

訪問看護の請求額は、基本料金に各種「加算」が上乗せされます。以下は代表的な加算です。実際にどの加算が適用されるかはステーションや利用者の状態によって異なります。

介護保険での主な加算

緊急時訪問看護加算
574単位/月
24時間連絡体制を整備し、緊急時に訪問できる体制をとっている場合に算定。利用者の同意が必要。
特別管理加算 I
500単位/月
気管カニューレ・留置カテーテルを使用中の方など、特別な管理が必要な場合。
特別管理加算 II
250単位/月
在宅酸素療法・人工肛門(ストーマ)・真皮を超える褥瘡がある方など。
ターミナルケア加算
2,000単位
死亡日および死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合。看取り対応のステーションで算定。
初回加算
300単位
新規に訪問看護計画書を作成した利用者に対して初回(初月)に算定。
退院時共同指導加算
600単位
退院・退所にあたり、医療機関の職員と共同して在宅での療養上の指導を行った場合。
看護体制強化加算 I
550単位/月
ターミナルケアの実績が一定以上あり、特別管理加算の対象者が多いステーションで算定。
複数名訪問看護加算
254〜402単位/回
暴力行為がある場合や体重が重い方の体位変換など、1人での対応が困難な場合。

※2024年度介護報酬改定に基づく。医療保険の場合は別途医科診療報酬の加算体系が適用されます。

加算は「自動的に」つくことが多い

緊急時訪問看護加算や特別管理加算は、ステーションの体制や利用者の状態に応じて自動的に算定されるケースが多いです。契約時の重要事項説明書で「どの加算が算定されるか」を確認しておきましょう。不明な点はケアマネジャーに聞いてください。

費用シミュレーション

介護保険(1割負担)で訪問看護を利用した場合の月額の目安例です。

例1)30分以上〜1時間未満の訪問看護を週2回(介護保険・1割負担)
基本料金 821単位 × 8回/月 6,568単位
緊急時訪問看護加算 574単位/月
合計単位数 7,142単位
費用(単価10.14円で計算) 約72,400円(保険給付対象)
1割自己負担 約7,200円/月
例2)30分未満の訪問看護 週3回 + 特別管理加算(介護保険・1割負担)
基本料金 470単位 × 12回/月 5,640単位
緊急時訪問看護加算 574単位/月
特別管理加算 II 250単位/月
合計単位数 6,464単位
費用(単価10.14円で計算) 約65,500円(保険給付対象)
1割自己負担 約6,600円/月

※あくまで目安。加算・地域単価・事業所・実際の訪問日数によって変わります。正確な金額はケアマネジャーまたは訪問看護ステーションにご確認ください。

費用を抑える制度

所得・資産状況によっては、自己負担を軽減できる制度があります。

高額介護サービス費
介護保険での1か月の自己負担が所得に応じた上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻されます。一般的な所得の方の上限は月44,400円。
高額療養費制度
医療保険での訪問看護の場合、1か月の医療費が高額になったときに自己負担上限額を超えた分が払い戻されます。所得区分によって上限額が異なります。
高額医療・高額介護合算制度
介護保険と医療保険の自己負担を年間で合算し、上限を超えた分が払い戻される制度です。複数のサービスを使っている場合に有利です。
指定難病の医療費助成
指定難病に認定されている方は、医療費の自己負担に月額上限が設定されます。訪問看護も助成の対象です。
生活保護受給者の場合
生活保護受給者は、介護扶助・医療扶助により自己負担なしでサービスを利用できます。ケースワーカーに相談してください。
自立支援医療(精神通院)
精神科訪問看護を利用する場合、自立支援医療の認定を受ければ自己負担が1割に軽減されます。
POINT 複数の制度を組み合わせて負担を軽減できる

高額介護サービス費と高額療養費制度は別々の制度ですが、さらに年間の合算制度もあります。制度が複雑なので、自己負担が高いと感じたら担当ケアマネジャーか市区町村の窓口で「使える軽減制度がないか」を必ず確認してください。

よくある質問

Q. 訪問看護は訪問介護より費用が高いですか?
はい、1回あたりの単価は訪問看護の方が高くなります。たとえば30分〜1時間未満の場合、訪問介護の身体介護は約400円(1割負担)ですが、訪問看護は約840円です。看護師などの医療専門職が担当するためです。
Q. 介護保険と医療保険のどちらが安いですか?
後期高齢者(75歳以上)の多くは介護保険・医療保険ともに1割負担のため、大きな差はありません。ただし医療保険は区分支給限度額の対象外なので、他の介護サービスを多く使っている方にとっては医療保険で別枠にできるメリットがあります。
Q. 加算が多くて費用が高くなりすぎないか心配です
緊急時訪問看護加算は月574単位(1割負担で約580円/月)、特別管理加算は月250〜500単位です。月額で見ると数百円〜千円程度の上乗せです。不安な場合は契約前にステーションに「月額の見込み」を聞いてみてください。
Q. 交通費はかかりますか?
多くのステーションでは交通費は基本料金に含まれていますが、遠方の場合に別途交通費を請求するステーションもあります。契約時の重要事項説明書で確認してください。

出典・参考

  • 厚生労働省「訪問看護」(厚生労働省ページ
  • 厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和6年度改定)」
  • 厚生労働省「医科診療報酬点数表(令和6年度改定)」
  • 公益財団法人 日本訪問看護財団「訪問看護の費用」
  • 厚生労働省「高額介護サービス費」「高額療養費制度」

この記事を読んだら、次にやること

  • 介護保険か医療保険かを確認する(主治医・ケアマネに聞く)
  • 利用する予定のステーションに「月額の見込み」を聞いてみる
  • 自己負担が高い場合は → 高額介護サービス費・高額療養費の申請を検討

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