ケアマネ不足の現状
「ケアマネジャーの空きがなく、新規の受付ができません」。地域包括支援センターにこうした相談が急増しています。ケアマネジャー(介護支援専門員)は在宅介護の入口であるケアプランを作成する専門職ですが、全国的に深刻な人手不足に陥っています。
ケアマネ試験の累計合格者は約73万人にのぼりますが、有効な資格を持つ登録者は約31万人、実際に現場で稼働しているのは約18万5千人にとどまります(2025年12月 共同通信調査)。推計約12万5千人が「潜在ケアマネ」として、資格を持ちながら別の職種に就いていたり、更新手続きの負担から離職しています。
・有効資格保有者:約31万人(うち稼働中は約18.5万人、潜在ケアマネ約12.5万人)
・居宅介護支援事業所:約39,000か所
・6割の事業所が常勤ケアマネ1〜2人の小規模体制
・要介護・要支援認定者:約700万人(2025年度)
不足が深刻化する3つの要因
1. 報酬水準の低さ
ケアマネジャーの報酬水準は介護職種の中でも低い部類です。居宅介護支援の介護報酬は訪問介護やデイサービスに比べて利益率が低く、ケアマネ専業の事業所は経営が厳しいのが実態です。
2. 更新研修の負担
ケアマネ資格はこれまで5年ごとの更新が必要で、数万円の研修費用と数十時間の研修受講が求められてきました。潜在ケアマネの多くが、更新制の存在を理由に復帰を断念しています。
3. 高齢化するケアマネ人材
現役ケアマネの平均年齢は約50歳です。今後10年で大量退職の波が来ることは確実で、若い世代の参入が追いつかなければ不足はさらに深刻化します。
更新制の廃止で何が変わるか
2026年4月3日、ケアマネ資格の更新制廃止を含む法案(社会福祉法等の一部を改正する法律案)が閣議決定されました(Joint 2026年4月3日報道)。今後は研修受講が法令上の義務として位置づけられますが、研修を受けなかったからといって資格そのものが失効することはなくなります。
・ケアマネ資格の更新制が廃止
・研修受講は法令上の義務として継続
・一度取得した資格が失効しなくなる
・潜在ケアマネ約12.5万人の復帰が期待される
詳しくはケアマネ資格更新制の廃止の記事で解説しています。
処遇改善加算の拡大
2026年6月の介護報酬臨時改定では、訪問介護の処遇改善加算率が最大28.7%に引き上げられます(GemMed 2026年1月21日報道、社会保障審議会介護給付費分科会承認)。さらに居宅介護支援(ケアマネ)にも処遇改善加算が新設されます。
| 項目 | 改定内容 |
|---|---|
| 訪問介護の処遇改善加算 | 最大28.7% |
| 訪問看護の加算 | 1.8% |
| ケアマネへの処遇改善加算 | 新設 |
詳しくは2026年6月の介護報酬臨時改定の記事で解説しています。
過疎地の人員基準緩和と定額報酬
2026年4月に閣議決定された法案では、過疎地の介護維持へ新たなスキームが導入されます(Joint 2026年4月3日報道)。特定地域での人員基準の緩和と、訪問介護への定額報酬の導入が柱です。利用者数が少ない地域でも事業所が維持できる制度設計を目指しています。
家族がとれる対策
1. 地域包括支援センターに相談する
最も確実な相談先です。管轄エリア内の事業所の空き状況を把握しており、マッチングの支援をしてくれます。
2. 隣接市区町村の事業所を探す
居宅介護支援事業所は市区町村をまたいで利用できます。
3. 小規模多機能型居宅介護を検討する
施設内にケアマネが配置されており、ケアプラン作成も含めて一体的にサポートを受けられます。
よくある質問
ケアマネの更新制はいつ廃止されますか?
2026年4月に廃止が決定しました。研修受講は法令上の義務に変更されますが、資格が失効することはなくなります。
処遇改善でケアマネの給料はどのくらい上がりますか?
居宅介護支援への処遇改善加算の新設により、月額給与は平均で約6,000円程度の増加が見込まれています。
ケアマネが見つからない場合はどうすればいいですか?
まず地域包括支援センターに電話で相談してください。
まとめ
ケアマネ不足は報酬水準の低さ・更新制の負担・人材の高齢化という構造的要因が重なって深刻化しています。2026年に入り、更新制の廃止、処遇改善加算の拡大、過疎地の定額報酬導入など複数の改善策が動き出しました。ケアマネが見つからない場合は、地域包括支援センターへの相談が最も確実な第一歩です。
出典・参考
- 厚生労働省 介護報酬について
- GemMed(2026年1月21日 処遇改善加算28.7%・訪問看護加算1.8%に関する報道)
- 介護ニュースJoint(2026年4月3日 ケアマネ更新制廃止・過疎地新スキーム・初任者研修オンライン化に関する報道)
- ケアマネドットコム