独自データ分析

デイサービスが17倍多い市と、
2ヶ所しかない市

全国42,912ヶ所のデイサービスを市区町村別に集計。「選び放題」と「選択肢がほぼない」地域の格差を可視化しました。

42,912
全国のデイサービス
17倍
事業所数の最大格差

分析の背景

デイサービス(通所介護)は在宅介護の中核を担うサービスです。入浴・食事・レクリエーション・機能訓練を日帰りで提供し、利用者の心身機能の維持と家族の介護負担の軽減を同時に実現します。

全国には通所介護24,758ヶ所と地域密着型通所介護18,154ヶ所の合計42,912ヶ所が登録されています。全国平均は65歳以上1万人あたり11.8ヶ所。しかし市区町村単位で見ると、1万人あたり33.6ヶ所から1.9ヶ所まで約17倍の差があります。

数字で見る格差

最も少ない市
胎内市(新潟県)
1.9
ヶ所 / 1万人
最も多い市
沖縄市(沖縄県)
33.6
ヶ所 / 1万人

デイサービスが多い地域では、利用者は「リハビリ特化型」「入浴特化型」「認知症対応型」など、ニーズに合わせて事業所を選べます。少ない地域では「通える範囲に1〜2ヶ所しかなく、合わなくても替えがない」状態になります。

選択肢が少ない市 Top10

65歳以上人口1万人以上の市で、人口あたりのデイサービス事業所数が少ない順のランキングです。

1
胎内市
新潟県
65歳以上 10,269人
デイ 2ヶ所
1万人あたり 1.9
新潟県北部の小都市。全国平均11.8の6分の1しかない。1万人の高齢者が2ヶ所のデイサービスに集中しており、待機や満員の可能性が高い。新潟県全体が1万人あたり9.2と全国ワースト3位。
胎内市の介護サービス情報
2
上山市
山形県
65歳以上 11,451人
デイ 4ヶ所
1万人あたり 3.5
山形市の南に隣接する温泉の街。4ヶ所で全国平均の3分の1以下。山形市(18ヶ所以上)と比較すると格差が大きく、市境をまたいで山形市のデイに通う方もいるとみられる。
上山市の介護サービス情報
3
八幡市
京都府
65歳以上 22,208人
デイ 8ヶ所
1万人あたり 3.6
京都市と大阪の中間。2.2万人の高齢者に8ヶ所は全国平均の3分の1以下。京都府全体が1万人あたり9.2と全国ワースト4位で、京都市以外の都市が特に手薄。
八幡市の介護サービス情報
4
伊佐市
鹿児島県
65歳以上 10,173人
デイ 4ヶ所
1万人あたり 3.9
鹿児島県北部の内陸市。過疎化が進む地域で事業者の参入が少ない。隣接する大口・菱刈地区も同様に事業所が限られ、広域的なデイサービスの空白地帯。
伊佐市の介護サービス情報
5
男鹿市
秋田県
65歳以上 11,866人
デイ 5ヶ所
1万人あたり 4.2
男鹿半島の中心。秋田県は1万人あたり9.1で全国ワースト2位。なまはげの里として知られるが、介護サービスのインフラは全国的に見て薄い。
男鹿市の介護サービス情報
6
城陽市
京都府
65歳以上 25,358人
デイ 11ヶ所
1万人あたり 4.3
京都市の南、八幡市の北。Top10に京都府の市が2つランクイン。2.5万人の高齢者に対して11ヶ所は、全国平均なら30ヶ所あってもおかしくない水準。
城陽市の介護サービス情報
7
国東市
大分県
65歳以上 11,330人
デイ 5ヶ所
1万人あたり 4.4
国東半島の先端に位置。地理的に孤立した立地のため事業者の参入が限られる。半島地形は配食サービスと同じく介護サービスも空白になりやすい。
国東市の介護サービス情報
8
和光市
埼玉県
65歳以上 15,080人
デイ 7ヶ所
1万人あたり 4.6
和光市は「コミュニティケア」の先進自治体として知られ、介護予防に注力。その方針がデイサービスの総量抑制につながっている可能性がある。特養も全国ワースト3位(0.7施設/1万人)で、「在宅重視」の裏返し。
和光市の介護サービス情報
9
三芳町
埼玉県
65歳以上 11,558人
デイ 5ヶ所
1万人あたり 4.3
ふじみ野市・所沢市に囲まれた埼玉県の町。埼玉県は1万人あたり9.3と全国ワースト5位。首都圏のベッドタウンは住宅中心の市街地構成のため、デイの用地確保が難しい。
三芳町の介護サービス情報
10
滝川市
北海道
65歳以上 13,963人
デイ 7ヶ所
1万人あたり 5.0
北海道中央部。北海道は1万人あたり9.0で全国最低。広大な面積に対してデイサービスが分散しにくく、都市部に集中する傾向がある。
滝川市の介護サービス情報

逆に「選び放題」の市

一方、デイサービスが密集している地域もあります。上位は沖縄県に集中しています。

順位市区町村1万人あたり事業所数
1沖縄市(沖縄県)33.6101ヶ所
2うるま市(沖縄県)32.391ヶ所
3栗原市(宮城県)28.976ヶ所
4南アルプス市(山梨県)27.453ヶ所
5名護市(沖縄県)26.838ヶ所

沖縄県は1万人あたり23.7ヶ所で全国1位。全国平均の2倍のデイサービスがあります。沖縄は特養が全国最低(1.5施設/1万人)ですが、デイサービスは逆に最も多い — 入所施設の代わりに通所で支えるという地域の介護モデルが浮き彫りになります。

なぜ格差が生まれるのか

要因1: 介護保険の総量規制が効いている地域

自治体には「指定拒否権」があり、介護保険事業計画で定めた上限を超える新規事業所を抑制できます。和光市のようにサービス量をコントロールしている自治体では、結果としてデイサービスが少なくなる。

要因2: 人口減少で参入が見込めない

胎内市・男鹿市・伊佐市など、人口減少率が高い地域では新規参入のインセンティブが弱い。既存事業所も撤退リスクを抱えており、今後さらに減る可能性がある。

要因3: 沖縄モデル — 入所施設の不足を通所で補う

沖縄県は特養が全国最少なのにデイは全国最多。施設に入れない分を在宅介護+デイサービスで支える構造。特養不足=悪とは限らず、デイ充実による在宅継続が結果として家族の負担軽減につながっている面もある。

都道府県別の密度

都道府県1万人あたり評価
沖縄県23.7全国1位
山梨県20.0充実
佐賀県19.7充実
宮崎県19.7充実
和歌山県18.7充実
全国平均 11.8
埼玉県9.3少ない
京都府9.2少ない
新潟県9.2少ない
秋田県9.1少ない
北海道9.0全国最低

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分析手法
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている通所介護(24,758ヶ所)と地域密着型通所介護(18,154ヶ所)の合計42,912事業所を使用。市区町村コードで集計し、総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。1万人あたり事業所数 = 市内のデイサービス事業所数 ÷ 65歳以上人口 × 10,000 で算出。

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この記事は厚生労働省・総務省の公開データに基づく独自分析です。事業所数は2026年3月時点の登録データであり、廃止・新規開設により変動します。
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