独自データ分析
認知症になったとき、
この市で暮らし続けられるか
認知症を在宅で支える3つのサービス — GH・認知症デイ・小規模多機能。計22,849ヶ所を市区町村別に集計し、「認知症ケアの地域力」を可視化しました。
認知症を支える3つのサービス
認知症の方が地域で暮らし続けるために設計された専門サービスは3種類あります。
グループホーム
14,310
認知症の方5〜9人の共同生活。入所型。住民票のある市のみ利用可。
認知症デイ
3,088
認知症専門の通所介護。少人数で個別ケア。一般のデイより手厚い対応。
小規模多機能
5,451
通い+訪問+泊まりを1事業所で柔軟に組み合わせ。認知症の方の利用が多い。
GHは入所、認知症デイは日中の通い、小規模多機能は通い+訪問+泊まりの一体型。この3つが揃っていれば、認知症の進行度に合わせてサービスを切り替えながら地域で暮らし続けることができます。
しかし現実には、GHしかない市が28市あります。入所はできても、「まだ在宅で暮らせる段階」を支える認知症デイや小規模多機能がない — つまり「入所するか、何もないか」の二択になる地域です。
数字で見る格差
最も少ない市
泉大津市(大阪府)
1.0
ヶ所 / 1万人
最も多い市
南島原市(長崎県)
21.6
ヶ所 / 1万人
認知症ケアが薄い市 Top10
65歳以上 19,393人
GH 2
認知症デイ 0
小多機 0
GHが2ヶ所あるのみで、認知症デイも小規模多機能もゼロ。2万人の高齢者のうち推定3,000人の認知症の方にとって、「GHに入るか、一般のデイに行くか」の2択。認知症に特化した在宅支援がない。
泉大津市の介護サービス情報
65歳以上 15,217人
GH 2
認知症デイ 0
小多機 0
見守り分析でもワースト2位。一人暮らし率26.9%で夜間訪問もなし。認知症の一人暮らし高齢者にとって最も厳しい環境の一つ。
福生市の介護サービス情報
65歳以上 32,834人
GH 3
認知症デイ 2
小多機 0
GH分析でもワースト3位。認知症デイは2ヶ所あるが小規模多機能がゼロ。3.3万人の高齢者に対して計5ヶ所は全国平均の4分の1。地価の高さが認知症ケアの整備を阻んでいる。
武蔵野市の介護サービス情報
65歳以上 32,373人
GH 4
認知症デイ 0
小多機 1
3.2万人の高齢者に認知症デイがゼロ。小規模多機能は1ヶ所あるが、認知症に特化した「日中の通い場」がないため、家族が日中ずっと自宅で見守るか一般のデイに預けるしかない。
鎌ケ谷市の介護サービス情報
65歳以上 25,454人
GH 4
認知症デイ 0
小多機 0
埼玉県西部の山間都市。GHのみで認知症デイ・小規模多機能がともにゼロ。「入所するか何もないか」の典型。埼玉県は全体で1万人あたり3.4と全国ワースト。
飯能市の介護サービス情報
65歳以上 25,098人
GH 3
認知症デイ 0
小多機 1
65歳以上 47,746人
GH 6
認知症デイ 1
小多機 1
Top10で最大の4.8万人の高齢者を抱える。3種すべてあるが総数8ヶ所は全国平均なら30ヶ所あってもおかしくない規模。大阪府南部の泉州地域が認知症ケアでも手薄。
和泉市の介護サービス情報
65歳以上 47,468人
GH 6
認知症デイ 1
小多機 1
和泉市とほぼ同規模・同構成。4.7万人に対して計8ヶ所。千葉県は全体で4.1と全国平均を下回る。
野田市の介護サービス情報
65歳以上 11,758人
GH 1
認知症デイ 0
小多機 1
GH分析でもワースト2位。GH1・小多機1の計2ヶ所のみ。認知症デイがないため、日中の認知症専門ケアは小規模多機能の「通い」に頼るしかない。
さくら市の介護サービス情報
65歳以上 15,920人
GH 3
認知症デイ 0
小多機 0
つくばエクスプレス沿線で人口が急増した新興都市。若い世代の流入で発展したが、高齢者サービスの整備は追いついていない。GHのみで認知症デイ・小多機ともにゼロ。
守谷市の介護サービス情報
「GHしかない」市の問題
入所か、何もないかの二択
認知症デイも小規模多機能もない市では、GHに入所するまでの間、認知症に特化したサービスがない。一般のデイサービスは認知症の方を受け入れているが、専門スタッフの配置や個別対応の点で認知症デイとは大きな差がある。軽度認知障害(MCI)から中等度の段階で、在宅生活を支えるサービスが欠落している。
小規模多機能の価値 — 「なじみの関係」
小規模多機能は、通い・訪問・泊まりを同じスタッフが担当する。認知症の方にとって「知らない人が来る」ことは大きなストレスで、毎回違うヘルパーが来る訪問介護より、顔なじみのスタッフが一貫して対応する小規模多機能の方が適しているケースが多い。しかし全国5,451ヶ所と数が限られており、28市では1ヶ所もない。
佐世保市の先進事例 — 3種130ヶ所
長崎県佐世保市はGH65・認知症デイ21・小規模多機能44の計130ヶ所(1万人あたり16.7)。全国平均の2.7倍。3種すべてが厚く揃っており、認知症の進行に合わせた切れ目のない支援が可能。長崎県は離島が多く施設整備が難しいはずだが、逆にきめ細かい地域密着型サービスが発達している。
都道府県別の認知症ケア力
| 都道府県 | 1万人あたり | 評価 |
| 長崎県 | 12.5 | 全国1位 |
| 佐賀県 | 11.4 | 充実 |
| 愛媛県 | 11.1 | 充実 |
| 島根県 | 10.8 | 充実 |
| 鳥取県 | 10.8 | 充実 |
| 全国平均 6.3 |
| 兵庫県 | 4.5 | 不足 |
| 大阪府 | 4.4 | 不足 |
| 千葉県 | 4.1 | 不足 |
| 東京都 | 3.6 | 不足 |
| 埼玉県 | 3.4 | 全国最低 |
※ 首都圏(埼玉・東京・千葉)が全国ワースト3を独占。認知症高齢者の絶対数は最も多い地域で、サービスが最も薄い。
認知症のサービスを探している方へ
認知症と診断された直後は、まず地域包括支援センターに相談するのが第一歩です。認知症の方が利用できるサービスの情報提供、ケアマネジャーの紹介、家族の相談にも対応しています。
お住まいの地域でGH・認知症デイ・小規模多機能のどれが利用できるかは、エリアページでご確認いただけます。
お住まいの地域の介護サービスを探す
GH・デイサービス・小規模多機能など、地域の事業所を一覧で確認できます。
施設入所ガイドを見る
分析手法
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている認知症対応型共同生活介護(GH・14,310施設)、認知症対応型通所介護(3,088施設)、小規模多機能型居宅介護(5,451施設)の計22,849施設を使用。市区町村コードで集計し、総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。認知症有病率は65歳以上の約15%(厚労省推計)を参考値として使用。
この記事は厚生労働省・総務省の公開データに基づく独自分析です。施設数は2026年3月時点の登録データであり、各施設の空き状況は反映していません。