独自データ分析

介護施設の受け皿は、
20倍の地域格差がある

特養・老健・グループホーム・有料老人ホームの4種別、計36,000施設を市区町村別に集計。「4種揃っている市」と「1種しかない市」の差を可視化しました。

36,000
入所系施設の合計
4種別
で層別評価

4つの施設を知る

入所できる介護施設は、大きく4種別に分かれます。それぞれ費用・入所条件・特徴が異なります。

特養
11,096施設
要介護3以上。月額5〜15万円。最も安い公的施設だが待機者が多い。
老健
4,121施設
要介護1以上。月額8〜15万円。リハビリ中心で原則3〜6ヶ月の短期入所。
グループホーム
14,310施設
認知症の方が対象。月額12〜18万円。少人数の共同生活。住民票のある市のみ。
有料老人ホーム等
5,985施設
要件は施設による。月額15〜30万円+入居金。費用は高いが空きがあれば入りやすい。

全市区町村にこの4種すべてがあるわけではありません。特養しかない市、有料しかない市、どれもほとんどない市があります。この「施設構成の偏り」こそが、施設の入りやすさを左右しています。

受け皿の少ない市 Top10

65歳以上1万人以上の市で、4種別の合計施設数が人口に対して少ない順のランキングです。

特養
老健
GH
有料
1
松原市
大阪府
65歳以上 33,568人
合計 5施設
1万人あたり 1.5
2
2
1
大阪市の南に隣接する人口12万人の市。3.4万人の高齢者に対して5施設は全国ワースト。老健ゼロ。大阪府は訪問介護が全国1位だが、入所施設は逆に手薄 — 「在宅で支える」大阪モデルの典型。
松原市の施設情報
2
富里市
千葉県
65歳以上 14,067人
合計 3施設
1万人あたり 2.1
1
1
1
特養分析でもワースト4位。隣の成田市は施設が充実しているが、富里市は特養1・GH1・有料1の計3施設。老健もゼロで、リハビリ目的の入所ができない。
富里市の施設情報
3
八幡市
京都府
65歳以上 22,208人
合計 5施設
1万人あたり 2.3
2
1
2
デイサービスでもワースト3位。有料老人ホームがゼロで、自費でも入所先がない。京都府の中でも京都市以外の南部が特に手薄。
八幡市の施設情報
4
向日市
京都府
65歳以上 16,055人
合計 4施設
1万人あたり 2.5
2
2
八幡市と同じ京都南部。老健ゼロ・有料ゼロ。面積7.7km²と全国で3番目に小さい市で、施設用地の確保が物理的に困難。4種のうち2種しかない。
向日市の施設情報
5
北杜市
山梨県
65歳以上 17,635人
合計 5施設
1万人あたり 2.8
3
1
1
GH分析でもワースト1位、訪問介護でもワースト10位。602km²の広大な面積に施設が点在。老健ゼロのため、リハビリ入所は他市に頼るしかない。
北杜市の施設情報
6
岸和田市
大阪府
65歳以上 52,789人
合計 15施設
1万人あたり 2.8
4
1
5
5
だんじり祭りで知られる泉州の中心都市。5.3万人の高齢者はTop10最大の規模。4種すべて揃っているが、人口に対して総数が少ない。
岸和田市の施設情報
7
清須市
愛知県
65歳以上 16,428人
合計 5施設
1万人あたり 3.0
2
2
1
名古屋市のすぐ北。愛知県は特養も全国ワースト級で、ベッドタウンに施設が少ない。老健ゼロ。
清須市の施設情報
8
宇美町
福岡県
65歳以上 10,284人
合計 3施設
1万人あたり 2.9
1
2
福岡市の南東に隣接する町。特養1・GH2の計3施設で、老健・有料はゼロ。4種のうち2種しかなく、選択肢が極めて限られる。
宇美町の施設情報
9
摂津市
大阪府
65歳以上 23,084人
合計 7施設
1万人あたり 3.0
3
3
1
大阪府北部、吹田市と茨木市に挟まれた市。老健ゼロ。松原市・岸和田市と合わせて大阪の市が3つランクイン。
摂津市の施設情報
10
日高市
埼玉県
65歳以上 18,120人
合計 6施設
1万人あたり 3.3
3
1
2
GH分析でもワースト7位。有料ゼロのため、「特養の待機が長いから有料で」という代替手段がない。4種のうち3種で、選択肢は限定的。
日高市の施設情報

施設構成で見る3つのパターン

パターンA: 有料ゼロ —「お金を出しても入れない」

八幡市・向日市・日高市・宇美町のように有料老人ホームがゼロの市。特養の待機が長くても民間施設という代替手段がない。費用を負担できる余裕があっても、市内で入れる施設が見つからないケースが発生する。

パターンB: 老健ゼロ — リハビリ入所ができない

Top10のうち7市が老健ゼロ。骨折・脳卒中後の回復期に「リハビリ目的で3ヶ月入所する」という選択肢がなく、自宅で訪問リハビリを受けるか、他市の老健を探すことになる。退院後の中間施設が欠けている。

パターンC: 大阪の逆説 — 在宅は充実、入所は不足

大阪府は訪問介護が全国1位(1万人あたり23.0)だが、入所施設は全国平均以下。Top10に松原市・岸和田市・摂津市と3市がランクイン。「できる限り在宅で」という大阪の介護モデルが、入所の受け皿不足と表裏一体になっている。

逆に充実している市

4種すべてが揃い、人口あたりの施設数が多い市は以下の通りです。

市区町村1万人あたり特養老健GH有料合計
南島原市(長崎)31.553321252
小美玉市(茨城)28.415391542
小林市(宮崎)26.35319835

南島原市はGH32施設と突出。GH偏重型だが4種すべて揃っており、受け皿は松原市の21倍。小美玉市は特養も全国1位の充実度で、施設系サービスが手厚い。

都道府県別の受け皿

都道府県1万人あたり評価
佐賀県18.1全国1位
長崎県16.4充実
愛媛県14.7充実
宮崎県14.6充実
鹿児島県14.5充実
全国平均 10.1
北海道7.9少ない
神奈川県7.6少ない
千葉県7.5少ない
埼玉県6.8不足
東京都6.6全国最低

首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)は軒並み全国平均以下。九州の上位県とは2倍以上の差があります。

施設を探している方へ

施設の種類ごとに特徴が大きく異なります。まずはお住まいの地域にどの種別の施設があるかを確認し、複数の施設を比較検討することをおすすめします。

特養の待機が長い場合は、老健(リハビリ中心・3〜6ヶ月)への入所で時間を稼ぎながら特養の空きを待つ方法もあります。GHは認知症の方限定ですが、特養より入りやすい地域もあります。

お住まいの地域の施設を種別ごとに探す

特養・老健・GH・有料老人ホームなど、地域の施設を一覧で確認できます。

施設入所ガイドを見る
分析手法
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている入所系施設を4種別に分類して集計。特養=介護老人福祉施設(11,096施設)、老健=介護老人保健施設(4,121施設)、GH=認知症対応型共同生活介護(14,310施設)、有料老人ホーム等=特定施設入居者生活介護+地域密着型特定施設(5,985施設)。総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。本分析は施設数の比較であり、各施設の定員・空床状況・待機者数は反映していません。

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この記事は厚生労働省・総務省の公開データに基づく独自分析です。施設数は2026年3月時点の登録データであり、開設予定や廃止済み施設は含まれていない場合があります。入所のしやすさは施設数だけでなく、定員・待機状況・退所率など多くの要因に左右されます。
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