独自データ分析

武蔵野市に3ヶ所、
南島原市に32ヶ所の不均衡

全国14,310の認知症グループホームを市区町村別に集計。認知症高齢者の受け皿となるGHが足りない地域と、参入余地がある地域を特定しました。

14,310
全国のグループホーム
31倍
施設数の最大格差

分析の背景

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者が5〜9人の少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な環境で日常生活の支援を受けられるため、特養よりも穏やかな暮らしが可能です。

65歳以上の約15%(約600万人)が認知症と推定される中、グループホームの受け入れ能力には大きな地域差があります。全国平均は1万人あたり3.8施設ですが、最少は0.6施設、最多は18.7施設約31倍の格差が存在します。

数字で見る格差

最も少ない市
北杜市(山梨県)
0.6
施設 / 1万人
最も多い市
南島原市(長崎県)
18.7
施設 / 1万人

グループホームは地域密着型サービスのため、原則として住民票のある市区町村の施設しか利用できません。特養と違って「隣の市のGHに入る」ということが基本的にできないため、自分の市にGHが少なければ選択肢がないことになります。

GHが足りない市 Top10

65歳以上人口1万人以上の市区町村で、人口あたりのGH施設数が少ない順のランキングです。

1
北杜市
山梨県
65歳以上 17,635人
GH 1施設
1万人あたり 0.6
八ヶ岳南麓の広大な市(602km²)。訪問介護でもワースト10位。1.8万人の高齢者に対してGHが1施設しかなく、推定2,600人の認知症高齢者の受け皿がほぼ存在しない。
北杜市の施設情報
2
さくら市
栃木県
65歳以上 11,758人
GH 1施設
1万人あたり 0.9
宇都宮市の北東に隣接。1.2万人の高齢者に対してGH1施設は、18人程度の定員と推定され圧倒的に不足。宇都宮市のGHは利用できないため、市内で完結する必要がある。
さくら市の施設情報
3
武蔵野市
東京都
65歳以上 32,834人
GH 3施設
1万人あたり 0.9
吉祥寺を擁する東京屈指の住宅地。3.3万人の高齢者に対してGHは3施設のみ。地価が極めて高く新規開設が困難。推定4,900人の認知症高齢者が市内GH約54人分の枠を争う計算。
武蔵野市の施設情報
4
菰野町
三重県
65歳以上 10,726人
GH 1施設
1万人あたり 0.9
訪問介護でもワースト5位。四日市市のベッドタウンだが、GHは地域密着型のため四日市市の施設は利用不可。複数のサービスが同時に不足する「複合的な空白」の市。
菰野町の施設情報
5
葉山町
神奈川県
65歳以上 10,252人
GH 1施設
1万人あたり 1.0
湘南の高級住宅地。武蔵野市と同様に地価が高く施設用地が確保しにくい。神奈川県全体が1万人あたり2.8と全国平均以下で、県の南部が特に手薄。
葉山町の施設情報
6
泉大津市
大阪府
65歳以上 19,393人
GH 2施設
1万人あたり 1.0
大阪府泉州地域のコンパクトシティ。大阪府は訪問介護は全国1位だがGHは1万人あたり3.0と全国平均以下。在宅サービス重視の大阪は施設型サービスが相対的に弱い。
泉大津市の施設情報
7
日高市
埼玉県
65歳以上 18,120人
GH 2施設
1万人あたり 1.1
埼玉県は1万人あたり2.3で東京に次ぐワースト2位。東京圏のベッドタウンは軒並みGHが不足しており、日高市はその典型。
日高市の施設情報
8
行田市
埼玉県
65歳以上 25,098人
GH 3施設
1万人あたり 1.2
配食サービスでも「冷凍宅配のみ」の空白エリア。2.5万人の高齢者に対しGH3施設は全国平均の3分の1。配食もGHも足りない「複合空白」の市。
行田市の施設情報
9
あきる野市
東京都
65歳以上 24,577人
GH 3施設
1万人あたり 1.2
東京都西部の多摩地域。東京都は1万人あたり2.2で全国最低。多摩地域の市は23区と比べても施設密度が低い傾向があり、GHの新設余地がある。
あきる野市の施設情報
10
鎌ケ谷市
千葉県
65歳以上 32,373人
GH 4施設
1万人あたり 1.2
千葉県北西部のベッドタウン。3.2万人の高齢者がいる中規模都市だがGHは4施設。武蔵野市とほぼ同じ高齢者数で、GHは1施設多いだけ。
鎌ケ谷市の施設情報

クロス分析 — 複数の指標で空白が重なる市

本記事シリーズの4つの分析を総合すると、複数のサービスが同時に不足している市が見えてきます。

複合的にサービスが不足している市
配食特養デイ訪問介護GH
行田市(埼玉)空白---不足
北杜市(山梨)---不足不足
菰野町(三重)---不足不足
和光市(埼玉)-不足不足--
胎内市(新潟)--不足不足-

※ 各分析のワースト10に入った項目を「不足」と表示。「空白」は配食サービスが存在しない市。

なぜ東京圏でGHが足りないのか

構造1: 地価の壁

GHの開設には一定の広さの土地・建物が必要だが、首都圏の地価ではコストが嵩む。介護報酬は全国で大きな差がなく、地価の高い地域ほど採算が取りにくい。武蔵野市・葉山町のような高級住宅地は、事業者にとって参入の経済合理性が低い。

構造2: 地域密着型の制約

GHは地域密着型サービスのため、住民票のある市区町村しか利用できない。特養のように「隣の市の施設に入る」ことが原則としてできないため、市単位の不足がダイレクトに住民の選択肢に影響する。市面積が小さいベッドタウンほど、この制約の影響が大きい。

構造3: 長崎モデル — 離島・過疎地にGHが多い

南島原市(18.7施設/1万人)、五島市(14.2)、雲仙市(13.6)と、上位は長崎県に集中。離島や過疎地では特養建設が難しい代わりに、小規模なGHが地域に分散して開設されている。認知症高齢者が住み慣れた地域で暮らし続ける仕組みとして機能。

都道府県別のGH充足率

都道府県1万人あたり評価
長崎県8.0全国1位
佐賀県8.0充実
愛媛県7.6充実
鹿児島県7.2充実
青森県6.7充実
全国平均 3.8
大阪府3.0不足気味
千葉県3.0不足気味
兵庫県2.7不足
埼玉県2.3不足
東京都2.2全国最低

グループホームを探している方へ

お住まいの市区町村のグループホームは、エリアページの施設情報から確認できます。GHは地域密着型サービスのため、お住まいの市区町村の施設のみが対象になります。

お住まいの地域の施設を探す

グループホーム・特養・老健など、地域の介護施設を一覧で確認できます。

施設入所ガイドを見る
分析手法
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている認知症対応型共同生活介護(グループホーム)14,310施設のデータを使用。市区町村コードで集計し、総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。認知症有病率は65歳以上の約15%(厚労省推計)を参考値として使用。GHは地域密着型サービスのため、利用は住民票のある市区町村の施設に限定される点に留意。

関連記事

特養が足りない市ランキング 訪問介護の充足率分析 デイサービスの競争密度マップ 配食サービスの届きにくい地域マップ
この記事は厚生労働省・総務省の公開データに基づく独自分析です。施設数は2026年3月時点の登録データであり、開設予定や廃止済み施設は反映されていない場合があります。
この情報に誤りがありましたら → 訂正依頼フォーム