分析の背景
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者が5〜9人の少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な環境で日常生活の支援を受けられるため、特養よりも穏やかな暮らしが可能です。
65歳以上の約15%(約600万人)が認知症と推定される中、グループホームの受け入れ能力には大きな地域差があります。全国平均は1万人あたり3.8施設ですが、最少は0.6施設、最多は18.7施設と約31倍の格差が存在します。
数字で見る格差
グループホームは地域密着型サービスのため、原則として住民票のある市区町村の施設しか利用できません。特養と違って「隣の市のGHに入る」ということが基本的にできないため、自分の市にGHが少なければ選択肢がないことになります。
GHが足りない市 Top10
65歳以上人口1万人以上の市区町村で、人口あたりのGH施設数が少ない順のランキングです。
北杜市の施設情報
さくら市の施設情報
武蔵野市の施設情報
菰野町の施設情報
葉山町の施設情報
泉大津市の施設情報
日高市の施設情報
行田市の施設情報
あきる野市の施設情報
鎌ケ谷市の施設情報
クロス分析 — 複数の指標で空白が重なる市
本記事シリーズの4つの分析を総合すると、複数のサービスが同時に不足している市が見えてきます。
| 市 | 配食 | 特養 | デイ | 訪問介護 | GH |
|---|---|---|---|---|---|
| 行田市(埼玉) | 空白 | - | - | - | 不足 |
| 北杜市(山梨) | - | - | - | 不足 | 不足 |
| 菰野町(三重) | - | - | - | 不足 | 不足 |
| 和光市(埼玉) | - | 不足 | 不足 | - | - |
| 胎内市(新潟) | - | - | 不足 | 不足 | - |
※ 各分析のワースト10に入った項目を「不足」と表示。「空白」は配食サービスが存在しない市。
なぜ東京圏でGHが足りないのか
GHの開設には一定の広さの土地・建物が必要だが、首都圏の地価ではコストが嵩む。介護報酬は全国で大きな差がなく、地価の高い地域ほど採算が取りにくい。武蔵野市・葉山町のような高級住宅地は、事業者にとって参入の経済合理性が低い。
GHは地域密着型サービスのため、住民票のある市区町村しか利用できない。特養のように「隣の市の施設に入る」ことが原則としてできないため、市単位の不足がダイレクトに住民の選択肢に影響する。市面積が小さいベッドタウンほど、この制約の影響が大きい。
南島原市(18.7施設/1万人)、五島市(14.2)、雲仙市(13.6)と、上位は長崎県に集中。離島や過疎地では特養建設が難しい代わりに、小規模なGHが地域に分散して開設されている。認知症高齢者が住み慣れた地域で暮らし続ける仕組みとして機能。
都道府県別のGH充足率
| 都道府県 | 1万人あたり | 評価 |
|---|---|---|
| 長崎県 | 8.0 | 全国1位 |
| 佐賀県 | 8.0 | 充実 |
| 愛媛県 | 7.6 | 充実 |
| 鹿児島県 | 7.2 | 充実 |
| 青森県 | 6.7 | 充実 |
| 全国平均 3.8 | ||
| 大阪府 | 3.0 | 不足気味 |
| 千葉県 | 3.0 | 不足気味 |
| 兵庫県 | 2.7 | 不足 |
| 埼玉県 | 2.3 | 不足 |
| 東京都 | 2.2 | 全国最低 |
グループホームを探している方へ
お住まいの市区町村のグループホームは、エリアページの施設情報から確認できます。GHは地域密着型サービスのため、お住まいの市区町村の施設のみが対象になります。
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている認知症対応型共同生活介護(グループホーム)14,310施設のデータを使用。市区町村コードで集計し、総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。認知症有病率は65歳以上の約15%(厚労省推計)を参考値として使用。GHは地域密着型サービスのため、利用は住民票のある市区町村の施設に限定される点に留意。