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訪問サービス

訪問介護でできること・できないこと生活援助と身体介護の線引き

2026年4月17日 更新7分で読めます

本記事は厚生労働省の公開データおよび各自治体の一次情報をもとに作成しています。一部にPR・広告を含む場合があり、その際は明示しています。

身体介護と生活援助の定義

訪問介護は、介護保険制度上「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3区分に分かれます。各区分で報酬単価が違い、サービス提供の考え方も異なります。

区分定義
身体介護利用者の身体に直接接触する介助入浴、排泄、食事介助、更衣、移乗、服薬介助
生活援助身体接触を伴わない家事援助調理、掃除、洗濯、買い物、薬の受け取り
通院等乗降介助通院の際の乗降介助ヘルパー運転の車両で通院付き添い

2024年度介護報酬改定後の単位数(ここでは便宜上20〜30分未満・30〜45分未満の例):身体介護244〜387単位、生活援助179〜220単位。身体介護の方が高単価です。

できること一覧

身体介護でできること

  • 食事介助(配膳・セッティング・食事中の見守り・介助)
  • 入浴介助(浴槽への移乗、洗身、洗髪、更衣)
  • 排泄介助(トイレ誘導、オムツ交換、陰部洗浄)
  • 更衣介助、体位変換
  • 移乗介助(ベッド⇔車椅子、車椅子⇔トイレ)
  • 服薬介助(薬の取り出し、本人が飲むのを見守り)
  • 通院・外出付き添い(制度上は「通院等乗降介助」で別枠)
  • 一定の医療的ケア(研修を受けたヘルパーによる喀痰吸引・経管栄養)

生活援助でできること

  • 調理(本人の食事分)
  • 掃除(本人の居室・共用部分)
  • 洗濯(本人の衣類)
  • 買い物(本人の日用品・食料品)
  • 薬の受け取り(本人処方分)
  • ベッドメイク、衣類の整理
  • ゴミ出し

できないこと一覧

厚生労働省の通知「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」で、訪問介護では行えないサービスが具体的に示されています。

「日常生活援助の範囲を超える」とされるもの

  • 本人以外のための家事(家族の食事作り・洗濯、家族の部屋の掃除)
  • 大掃除、窓のガラス拭き、専門技術が必要な掃除(エアコン・換気扇分解清掃)
  • 草むしり、花木の水やり、ペットの世話
  • 家の修繕、模様替え
  • 正月料理、冠婚葬祭の準備
  • 金銭の管理・運用、銀行や役所の手続き代行
  • 自家用車の洗車

「医療行為」とされるもの(原則不可)

  • 注射、点滴、採血
  • 褥瘡(床ずれ)の処置
  • 摘便、浣腸
  • 血糖測定、インスリン注射
  • 血圧測定(水銀計は医療行為。自動血圧計による測定・記録は可能)
  • 軟膏の塗布(軽微な範囲は可、広範囲・専門処置は不可)

注意:「できない」とされる項目でも、介護保険外サービス(自費)であれば対応してもらえる場合があります。事業所が介護保険と自費サービスの両方を提供しているか、契約時に確認しましょう。

グレーゾーンの判断

制度の線引きで判断が難しいケースが実務で多く出てきます。基本的な考え方は次の3点です。

1. 本人のためか、家族のためか

「本人が食べる食事の調理」は生活援助でOK、「家族と共に食べる食事の大量調理」は家族分があるため不可。本人用のみの調理なら可です。

2. 日常生活の範囲か、非日常か

「普段の食事・洗濯」は日常生活で可、「正月のおせち作り」は非日常で不可。「普段の掃除」は可、「年末大掃除・引っ越し」は不可。

3. 本人にとって自立支援か、代行か

「一緒に調理して本人の料理スキルを維持する」は自立支援で可、「すべて代行して本人の関与なし」は検討対象。生活援助は「本人ができないことを代わりにする」サービスであり、自立を損なわない範囲が原則です。

**判断に迷ったら:**担当ケアマネジャーに具体の場面で確認するのが最も確実。ケアマネは保険者(市区町村)の運用指針に照らして判断します。事業所によって判断が異なることもあります。

医療行為の線引き

2005年厚労省通知「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」で、医療行為に該当しない範囲が明確化されました。

ヘルパーが実施可能(医療行為に当たらないもの)

  • 体温測定(電子体温計)
  • 血圧測定(自動血圧計)
  • パルスオキシメーター装着
  • 軽微な傷の処置(絆創膏貼付等)
  • 軟膏の塗布(褥瘡以外)
  • 点眼
  • 爪切り(糖尿病等の疾患がない場合)
  • 耳垢除去(耳垢塞栓でないもの)
  • 口腔ケア(専門的でないもの)
  • 服薬介助(一包化された薬の手渡し等)

研修修了者のみ実施可能

  • 喀痰吸引(口腔・鼻腔・気管カニューレ内)
  • 経管栄養(胃ろう・経鼻)

これらは「認定特定行為業務従事者」の研修修了と、事業所の登録特定行為事業者登録が必要です。医師の指示・看護師の連携のもとで実施されます。

ケアマネと事業所への伝え方

「これ頼めますか?」の聞き方

「ヘルパーさんに○○をお願いしたいのですが、可能ですか?」と具体的に。「何となく手伝ってほしい」は判断できません。頻度・時間・目的を明確にするほど返答が確実です。

できない場合の代替案を聞く

「介護保険では対応できない」と言われたら、「他の方法はありますか?」と聞きましょう。自費サービス、地域のシルバー人材センター、NPOの家事支援、家族でやる、などの選択肢が出てきます。

要望はケアプランに反映される

「こういう支援が必要」と伝えれば、ケアマネジャーがケアプランに組み込み、事業所のサ責(サービス提供責任者)が訪問介護計画書に落とし込む流れ。ケアプランに書かれていないサービスは原則提供されないので、必要な支援は明示的に伝えましょう。

この記事の要点

  • 訪問介護は身体介護・生活援助・通院等乗降介助の3区分
  • 本人以外の世話、大掃除、草むしり、ペット世話、金銭管理は不可
  • 医療行為は原則不可(ただし喀痰吸引・経管栄養は研修修了者のみ可能)
  • グレーゾーンは「本人のため」「日常範囲」「自立支援」の3視点で判断
  • 判断に迷ったらケアマネに具体の場面で確認
  • 介護保険外(自費)でなら対応可能なことも多い

よくある質問

Q. 母と同居する息子(私)の昼食も作ってもらえる?

原則できません。生活援助は本人(母)のためのサービスで、同居家族の食事分は対象外です。例外的に「本人の食事を作るついでに、家族分も一緒に作る」ケースもありますが、事業所・ケアマネの判断によるグレーゾーン。自費サービスでの対応が確実です。

Q. 庭の草むしりは?

介護保険の生活援助の範囲外です。シルバー人材センターの派遣、自費の家事代行、地域のボランティア団体などに依頼するのが一般的。訪問介護事業所が自費サービス枠で対応することもあります。

Q. 一緒に住んでいる私が仕事で日中不在。その間のお世話は頼める?

日中の身体介護(食事介助・排泄介助・服薬介助等)は頼めます。生活援助(調理・掃除等)は原則「同居家族がいない場合」が条件ですが、家族が就労・障害・疾病等で援助できない場合は例外的に算定できます。ケアマネジャーが状況をアセスメントして判断します。

Q. 通院の付き添いは頼める?

「通院等乗降介助」という別区分で対応可能です。1回ごとに単位数が算定されます。タクシー代は別途自費です。院内の付き添い(診察室への移動介助等)は、通院等乗降介助に含まれるケースと、身体介護で別算定するケースがあり、事業所・保険者の運用で異なります。

Q. ヘルパーと一緒に買い物に行けますか?

本人が同行する場合、身体介護(外出介助)の一環として対応可能です。スーパーまで一緒に歩いて行き、商品選び・支払いを見守る等。本人不在で「代わりに買ってくる」のは生活援助の買い物で、これも可能です。ただし使途が明確な日用品・食料品に限られ、娯楽品・高額商品等は対象外の場合があります。

出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号)/ 身体介護・生活援助の範囲/「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(医政発第0726005号)/ 医療行為に該当しない範囲。本記事の内容は2026年4月時点。