独自データ分析

ヘルパーが来ない地域は、
大阪の30分の1しか事業所がない

全国35,191の訪問介護事業所を市区町村別に集計。「来てほしいのに来てもらえない」ヘルパー不足地域を特定しました。

35,191
全国の訪問介護事業所
30倍
事業所数の最大格差

分析の背景

訪問介護(ホームヘルプ)は、ヘルパーが自宅を訪問して身体介護や生活援助を行うサービスです。入浴・排泄・食事の介助から、掃除・洗濯・買い物まで、在宅生活を続けるための基盤となるサービスです。

しかし訪問介護業界は深刻な人手不足に直面しています。有効求人倍率は15倍を超え、「利用したいのにヘルパーの空きがない」という事態が各地で発生しています。

その深刻度は地域によって大きく異なります。全国平均は65歳以上1万人あたり10.6ヶ所ですが、最少の市は1.0ヶ所、最多は30.5ヶ所30倍の格差があります。

数字で見る格差

最も少ない市
いちき串木野市(鹿児島)
1.0
ヶ所 / 1万人
最も多い市
大阪市(大阪府)
30.5
ヶ所 / 1万人

訪問介護事業所が少ない地域では、ヘルパーの予約が取れない・希望の時間に来てもらえない・週の利用回数を増やせないといった制約が生まれます。結果として在宅生活の継続が難しくなり、施設入所の検討を早めることにつながります。

ヘルパー不足の市 Top10

65歳以上人口1万人以上の市町村で、人口あたりの訪問介護事業所数が少ない順のランキングです。

1
いちき串木野市
鹿児島県
65歳以上 10,176人
訪問介護 1ヶ所
1万人あたり 1.0
鹿児島県西部の海沿いの市。1万人の高齢者に対して訪問介護事業所が1ヶ所しかなく、全国ワースト。1事業所のヘルパーで地域全体をカバーしなければならず、サービスの逼迫度は極めて高い。
いちき串木野市の介護サービス情報
2
魚沼市
新潟県
65歳以上 12,913人
訪問介護 2ヶ所
1万人あたり 1.5
豪雪地帯の代名詞。冬場は移動が困難になるため訪問介護の需要は特に高いが、事業所は2ヶ所のみ。新潟県は1万人あたり5.3で全国最低。
魚沼市の介護サービス情報
3
南魚沼市
新潟県
65歳以上 18,460人
訪問介護 3ヶ所
1万人あたり 1.6
魚沼コシヒカリの産地。隣の魚沼市と合わせて魚沼地域が広域的な訪問介護空白地帯。1.8万人の高齢者を3事業所で支えている状態。
南魚沼市の介護サービス情報
4
小矢部市
富山県
65歳以上 10,852人
訪問介護 2ヶ所
1万人あたり 1.8
富山県西端の市。北陸は全般的に訪問介護が少ない傾向がある。同居世帯の比率が高く、家族による介護が前提とされてきた地域性が影響している可能性。
小矢部市の介護サービス情報
5
菰野町
三重県
65歳以上 10,726人
訪問介護 2ヶ所
1万人あたり 1.9
四日市市の西隣。四日市市は10ヶ所以上の訪問介護事業所があるが、隣の菰野町は2ヶ所。市境で急激に差が出るパターン。
菰野町の介護サービス情報
6
胎内市
新潟県
65歳以上 10,269人
訪問介護 2ヶ所
1万人あたり 1.9
デイサービスでもワースト1位だった胎内市。訪問介護もワースト6位。通所も訪問も両方足りない「介護サービス複合空白」の代表的な市。
胎内市の介護サービス情報
7
赤穂市
兵庫県
65歳以上 15,216人
訪問介護 3ヶ所
1万人あたり 2.0
忠臣蔵で知られる播磨灘の市。兵庫県は西部(播磨地域)で訪問介護が薄い。大阪・神戸にヘルパーが流れ、県西部に人材が残りにくい構造がある。
赤穂市の介護サービス情報
8
小美玉市
茨城県
65歳以上 14,812人
訪問介護 3ヶ所
1万人あたり 2.0
特養は全国1位の充実度(1万人あたり10.1施設)だが、訪問介護はワースト8位。「施設は多いが在宅支援は薄い」という偏りが顕著な市。
小美玉市の介護サービス情報
9
幸手市
埼玉県
65歳以上 17,743人
訪問介護 4ヶ所
1万人あたり 2.3
埼玉県北東部。東京のベッドタウンとして高齢化が進む一方で、訪問介護の事業所が追いついていない。都心への通勤可能圏だが、介護人材は都心に流出している。
幸手市の介護サービス情報
10
北杜市
山梨県
65歳以上 17,635人
訪問介護 4ヶ所
1万人あたり 2.3
八ヶ岳南麓の高原都市。面積が602km²と広大(東京23区とほぼ同じ)で、移動時間が長いため訪問介護の効率が極めて悪い。事業者にとって採算が取りにくい典型的な構造。
北杜市の介護サービス情報

なぜ30倍の格差が生まれるのか

構造1: 大阪の突出 — 訪問介護のメッカ

大阪府は1万人あたり23.0ヶ所と全国1位。全国平均の2倍以上。大阪は生活保護率が高く訪問介護の利用率も高いため、事業所数が膨れ上がった経緯がある。大阪の数字は「日本全体」の実態とは乖離しており、大阪を除くと格差はもう少し穏やかになる。

構造2: 新潟・茨城・静岡 — 日本海側と北関東の空白

新潟県(5.3ヶ所/1万人)、静岡県(5.6)、茨城県(5.9)は全国平均の半分。Top10にも新潟3市、茨城1市がランクイン。積雪・広い面積・三世代同居の慣習が複合的に訪問介護の発達を抑制してきた。

構造3: 面積が広い市ほど不利

北杜市(602km²)のように面積が大きい市は、訪問1件あたりの移動時間が長くなるため事業所の生産性が低下する。同じ人数のヘルパーでも、コンパクトな市なら1日8件回れるところが、広い市では4件が限界ということもある。

都道府県別の訪問介護充足率

都道府県1万人あたり評価
大阪府23.0全国1位
和歌山県20.2充実
徳島県14.9充実
奈良県14.2充実
宮崎県13.6充実
全国平均 10.6
山形県6.1不足
福井県6.1不足
茨城県5.9不足
静岡県5.6不足
新潟県5.3全国最低

訪問介護を探している方へ

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分析手法
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている訪問介護事業所35,191ヶ所を使用。市区町村コードで集計し、総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。1万人あたり事業所数 = 市内の訪問介護事業所数 ÷ 65歳以上人口 × 10,000 で算出。

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この記事は厚生労働省・総務省の公開データに基づく独自分析です。事業所数は2026年3月時点の登録データであり、廃止・新規開設により変動します。訪問介護の求人・転職情報については、関連記事「介護職の転職サイト比較」をご参照ください。
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