独自データ分析

訪問看護ステーションが
ゼロの市がある

在宅医療の要である訪問看護。全国17,959事業所を市区町村別に集計すると、1ヶ所もない市が3つ、1ヶ所しかない市が11ありました。

17,959
全国の訪問看護事業所
3市
訪問看護ゼロ

訪問看護とは何か

訪問看護は、看護師が自宅を訪問して医療的なケアを行うサービスです。点滴の管理、褥瘡(床ずれ)の処置、服薬管理、ターミナルケア(看取り)など、医師の指示に基づく医療行為を自宅で受けられます。

訪問介護(ヘルパー)が生活支援・身体介護を担うのに対し、訪問看護は医療的な判断と処置を担います。在宅で最期を迎えたい方、退院後に医療的ケアが必要な方にとって、訪問看護ステーションが近くにあるかどうかは生死に関わる問題です。

全国平均と格差

全国平均は65歳以上1万人あたり5.2ヶ所。しかし最少はゼロ、最多は14.9ヶ所で、訪問看護が1ヶ所もない市が3つあります。

最も少ない
平川市・小美玉市・香美市
0
訪問看護ゼロ
最も多い市
田川市(福岡県)
14.9
ヶ所 / 1万人

訪問看護が不足している市 Top10

65歳以上人口1万人以上の市で、人口あたりの訪問看護事業所数が少ない順のランキングです。

1
平川市
青森県
65歳以上 10,779人
訪問看護 0ヶ所
弘前市の南に隣接。1万人超の高齢者がいるのに訪問看護ステーションがゼロ。在宅での医療的ケアが必要な方は、弘前市の事業所に依頼するしかない。GH分析でも充実側だった青森県だが、訪問看護は別の構図。
平川市の介護サービス情報
2
小美玉市
茨城県
65歳以上 14,812人
訪問看護 0ヶ所
特養は全国1位(1万人あたり10.1施設)の充実度。しかし訪問看護はゼロ。施設に入れば看護を受けられるが、在宅で暮らしたい方には医療の手が届かない。「施設は充実、在宅は空白」という極端な偏り。
小美玉市の介護サービス情報
3
香美市
高知県
65歳以上 10,185人
訪問看護 0ヶ所
高知市の北東に位置する山間都市。高知県は一人暮らし高齢者率が全国2位だが、訪問看護のカバーに穴がある。在宅での看取りを希望しても、市内に対応できる事業所がない。
香美市の介護サービス情報
4
坂東市
茨城県
65歳以上 15,844人
訪問看護 1ヶ所
1万人あたり 0.6
茨城県南西部。1.6万人の高齢者に対して1事業所のみ。茨城県は県全体で1万人あたり3.0と全国ワースト2位。小美玉市・坂東市・常陸大宮市とTop10に3市が入る。
坂東市の介護サービス情報
5
常陸大宮市
茨城県
65歳以上 14,749人
訪問看護 1ヶ所
1万人あたり 0.7
茨城県北部の山間部。茨城県3市目のランクイン。県北部から県南部まで広域的に訪問看護が不足しており、県の構造的な課題。
常陸大宮市の介護サービス情報
6
牧之原市
静岡県
65歳以上 13,856人
訪問看護 1ヶ所
1万人あたり 0.7
お茶の産地として知られる駿河湾沿いの市。静岡県は訪問介護も全国ワースト級(5.6ヶ所/万人)で、訪問系サービス全般が手薄。
牧之原市の介護サービス情報
7
下呂市
岐阜県
65歳以上 12,353人
訪問看護 1ヶ所
1万人あたり 0.8
下呂温泉で知られる飛騨の山間都市。面積851km²と広大で、1事業所では物理的にカバーしきれない。温泉地は保養に来る高齢者も多く、潜在需要は高い。
下呂市の介護サービス情報
8
小千谷市
新潟県
65歳以上 12,135人
訪問看護 1ヶ所
1万人あたり 0.8
錦鯉の発祥地。新潟県は訪問看護1万人あたり2.5で全国最低。訪問介護も全国最低(5.3)で、在宅サービス全般が全国で最も薄い県。豪雪地帯のため冬季は訪問がさらに困難になる。
小千谷市の介護サービス情報
9
つがる市
青森県
65歳以上 12,013人
訪問看護 1ヶ所
1万人あたり 0.8
津軽平野の西部。平川市と合わせて青森県が2市ランクイン。青森県は訪問看護だけでなく、看護師の人材不足が深刻な地域。
つがる市の介護サービス情報
10
鹿角市
秋田県
65歳以上 11,883人
訪問看護 1ヶ所
1万人あたり 0.8
秋田県北東部、十和田湖の南。秋田県は人口減少率が全国最高で、医療・看護人材の確保が年々困難になっている。
鹿角市の介護サービス情報

訪問看護と訪問介護の違い

訪問介護は「生活」、訪問看護は「医療」

訪問介護(ヘルパー)は食事・入浴・排泄の介助や掃除・洗濯などの生活援助。訪問看護は点滴管理・褥瘡処置・服薬管理・ターミナルケアなどの医療行為。両方揃ってはじめて「在宅で暮らし続ける」ことが可能になる。訪問看護がゼロの市では、在宅での医療的ケアを受けるために隣の市の事業所に頼るか、入院・入所するしかない。

なぜ地域差が生まれるのか

構造1: 看護師の都市集中

訪問看護ステーションの開設には看護師の常勤が必要。看護師は病院勤務を志向する傾向が強く、大都市の病院に集中する。地方都市では訪問看護を開業したくても看護師が確保できないケースが多い。

構造2: 新潟・茨城の構造的不足

新潟県(2.5ヶ所/万人)は全国最低。茨城県(3.0)もワースト2位。両県とも訪問介護も全国ワースト級で、在宅サービス全般が手薄。三世代同居率が高い地域文化と、広い県土面積が、訪問系サービスの発達を構造的に抑制してきた。

構造3: 小美玉市の逆説 — 施設は全国1位、在宅はゼロ

小美玉市は特養が1万人あたり10.1施設で全国トップだが、訪問看護はゼロ、訪問介護もワースト8位。「施設に入ればケアを受けられるが、在宅で暮らしたい方には手が届かない」という極端な施設偏重型。これは自治体の介護政策の方針の違いを如実に反映している。

都道府県別の訪問看護充足率

都道府県1万人あたり評価
熊本県7.9全国1位
和歌山県7.9充実
福岡県7.9充実
大阪府7.7充実
沖縄県7.5充実
全国平均 5.2
山形県3.2不足
秋田県3.2不足
栃木県3.0不足
茨城県3.0不足
新潟県2.5全国最低

訪問看護を探している方へ

訪問看護の利用には主治医の指示書が必要です。まずかかりつけ医に相談し、訪問看護の必要性を判断してもらいましょう。お住まいの地域の訪問看護ステーションはエリアページで確認できます。

お住まいの市に訪問看護ステーションがない場合でも、隣接する市の事業所が対応してくれるケースがあります。訪問看護には配達圏のような地域制限はなく、事業所の判断で訪問範囲を決めています。

お住まいの地域の訪問看護を探す

訪問看護ステーションの名称・電話番号・対応曜日を地域別に検索できます。

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分析手法
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている訪問看護事業所17,959ヶ所を市区町村別に集計。総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。1万人あたり事業所数 = 市内の訪問看護事業所数 ÷ 65歳以上人口 × 10,000 で算出。なお、訪問看護は介護保険だけでなく医療保険でも利用されるため、利用者は65歳以上に限りません。

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この記事は厚生労働省・総務省の公開データに基づく独自分析です。事業所数は2026年3月時点の登録データであり、廃止・新規開設により変動します。
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