ショートステイの費用内訳部屋代・食費・加算を分解する
本記事は厚生労働省の公開データおよび各自治体の一次情報をもとに作成しています。一部にPR・広告を含む場合があり、その際は明示しています。
料金の全体構造 — 4つの要素
ショートステイの自己負担は、次の4つを合算した額に対して介護保険の負担割合(1〜3割)をかけた料金になります(ただし食費・居住費は原則実費)。
| 構成要素 | 内容 | 保険適用 |
|---|---|---|
| 基本単位 | 時間区分別の介護サービス料金(要介護度により変動) | 介護保険(1〜3割負担) |
| 食費 | 1日3食+おやつ(基準費用額が定められている) | 原則実費。補足給付対象者は軽減 |
| 居住費(滞在費) | 部屋代(居室形態により変動) | 原則実費。補足給付対象者は軽減 |
| 加算 | 送迎、入浴、機能訓練、看護体制等 | 介護保険(1〜3割負担) |
「介護保険で安く使える」と言われますが、食費と居住費は実費扱いのため、低所得者向けの軽減制度(補足給付)がないと実質負担は大きくなります。
基本単位(要介護度・居室形態別)
短期入所生活介護の基本単位数は、2024年4月改定後の数字が現時点でも有効です(令和8年度改定では単位数本体は変更されていません)。1単位は地域により10.00〜11.40円(8段階地域区分)で、ここでは便宜上10円で概算します。
単独型・従来型個室/多床室の場合
| 要介護度 | 単位数/日 | 1割負担目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 479単位 | 約479円 |
| 要支援2 | 596単位 | 約596円 |
| 要介護1 | 645単位 | 約645円 |
| 要介護2 | 715単位 | 約715円 |
| 要介護3 | 787単位 | 約787円 |
| 要介護4 | 856単位 | 約856円 |
| 要介護5 | 926単位 | 約926円 |
※ ユニット型個室はさらに高く、併設型・空床利用型は単独型よりやや低い単価設定です。各事業所が算定している体制加算によっても上下します。
長期利用者減算(連続30日超で-30単位/日、連続60日超で基本報酬が特養要介護1単位数の75%相当に置き換え)が2024年度改定で導入されています。詳細はロングショートの仕組みと限界をご覧ください。
食費 — 2026年8月から改定
食費は制度上「基準費用額」が示されており、事業所はこれを参考に実費を設定します。この基準費用額が令和8年度改定で見直されました。
| 区分 | 2026年7月まで | 2026年8月から |
|---|---|---|
| 基準費用額(食費) | 1,445円/日 | 1,545円/日 |
所得が低い方は補足給付(特定入所者介護サービス費)で食費負担の上限が軽減されます。負担限度額も同時に改定されます。
| 負担段階 | 2026年7月まで | 2026年8月から |
|---|---|---|
| 第1段階(生活保護等) | 300円/日 | 据え置き |
| 第2段階(年金80万円以下) | 390円/日 | 据え置き |
| 第3段階①(年金80万超120万以下) | 650円/日 | 680円/日 |
| 第3段階②(年金120万超) | 1,360円/日 | 1,420円/日 |
補足給付を受けるには、市町村に負担限度額認定証の交付を申請する必要があります。年1回の更新制で、所得・預貯金等が要件内であることが条件です。
居住費(滞在費)
居住費は居室形態により大きく異なります。2024年改定時の基準費用額は以下のとおり。
| 居室形態 | 基準費用額/日 | 月30日換算 |
|---|---|---|
| 多床室 | 915円 | 約27,450円 |
| 従来型個室 | 1,231円 | 約36,930円 |
| ユニット型個室的多床室 | 1,728円 | 約51,840円 |
| ユニット型個室 | 2,066円 | 約61,980円 |
こちらも補足給付の対象で、負担限度額認定を受けていれば各段階の上限まで軽減されます。施設側が「特別な居室」として基準費用額を超える料金を設定している場合は、差額分は軽減対象外となる点に注意。
主な加算
基本単位とは別に、事業所の体制や提供するケアの内容に応じて加算が乗ります。利用者側で選択するのではなく、事業所が算定要件を満たしているかで決まります。
多くの事業所で算定される加算(例)
- 送迎加算:片道184単位
- 夜勤職員配置加算:1日13単位(基準を超える配置の場合)
- 機能訓練指導体制加算:1日12単位
- 看護体制加算Ⅰ〜Ⅳ:1日12〜28単位
- 個別機能訓練加算Ⅰ:1日56単位
- 療養食加算:1食8単位(1日最大3食分)
- 処遇改善加算:基本報酬と加算の合計に一定率(短期入所生活介護は令和8年6月からの加算Ⅰロで最大17.6%)
特定条件で算定される加算
- 緊急短期入所受入加算:1日90単位(7日を限度、やむを得ない事情があれば最大14日)
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算:1日200単位(7日を限度)
- 認知症専門ケア加算Ⅰ・Ⅱ:1日3〜4単位
- 生活機能向上連携加算:月100〜200単位
- 看取り連携体制加算:1日64単位(死亡日・死亡日前30日以内、加算要件あり)
出典:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和6年度介護報酬改定)/ 短期入所生活介護の各加算単位数。
負担軽減制度
補足給付(特定入所者介護サービス費)
所得と預貯金等が一定以下の方を対象に、食費・居住費の負担上限を設ける制度です。負担限度額認定証を市町村から交付してもらい、施設に提示することで適用されます。
- 対象:住民税非課税世帯で、預貯金等の要件を満たす方
- 申請先:住所地の市区町村介護保険担当窓口
- 有効期間:原則1年(毎年更新)
高額介護サービス費
月々の介護保険利用による自己負担額(食費・居住費・加算外実費は対象外)が上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。負担段階により月上限が定められています(例:一般区分44,400円、住民税非課税24,600円等)。自動的に適用される市町村と、申請制の市町村があります。
高額医療・高額介護合算療養費
医療保険と介護保険の年間自己負担合計が高額になる場合、超過分を年1回払い戻す制度です。同一世帯の国民健康保険・後期高齢者医療保険に加入する方が対象。申請は市町村窓口へ。
概算シミュレーション
ケース1:要介護2、多床室、1泊2日、1割負担
- 基本単位:715単位 × 1日 = 715円相当 → 1割負担 約715円
- 送迎(往復):184×2 = 368単位 → 約368円
- 食費(2日分):1,445 × 2 = 2,890円(補足給付なし)
- 居住費(多床室、1泊):915円
- 合計概算:約4,900円(初日の基本単位・加算は1割相当、2日目にも基本単位が1日分かかる)
※ 実際は2日間にわたり基本単位が日数分かかるため、もう少し高くなります。ここでは分かりやすくするため1日分のみで概算。
ケース2:要介護4、従来型個室、1週間、1割負担・補足給付第2段階
- 基本単位:856単位 × 7日 = 5,992単位 → 約5,992円
- 食費(7日分、第2段階):390 × 7 = 2,730円
- 居住費(従来型個室、第2段階上限420円/日):420 × 7 = 2,940円
- 送迎(往復):368円
- その他加算・処遇改善加算:数百円〜1,000円程度
- 合計概算:約12,500〜13,500円/週
ケース3:要介護5、ユニット型個室、1か月(ロングショート)、1割負担
- 基本単位:926単位 × 30日 = 27,780単位 → 約27,780円
- 長期利用減算:連続30日超で-30単位/日(30日目まではなし)
- 食費(30日分、補足給付なし):1,445 × 30 = 43,350円
- 居住費(ユニット型個室、補足給付なし):2,066 × 30 = 61,980円
- 合計概算:約13〜15万円/月(加算・処遇改善加算を加算)
**注意:**上記はあくまで目安です。実際の請求額は事業所の算定加算、居室形態、地域区分(1単位単価)、負担割合によって変動します。正確な見積もりは事業所の契約時に確認してください。
よくある質問
Q. ショートステイは1泊いくらから?
要介護度・居室形態・負担割合で変わりますが、1割負担で多床室なら1泊2,000〜3,000円、ユニット型個室なら4,000〜6,000円程度が目安です。これに食費1日1,445円(2026年8月から1,545円)が加わります。補足給付の対象者はさらに軽減されます。
Q. 負担限度額認定はどうやって申請しますか?
住所地の市区町村介護保険担当窓口に申請書を提出します。必要書類は収入状況が分かる書類(年金通知書等)、預貯金通帳の写しなど。認定証は1年ごとの更新制で、毎年7月頃に更新申請が必要です。事業所の生活相談員が申請方法を案内してくれることもあります。
Q. 食費は実費で、事業所ごとに違う?
食費は原則として事業所が独自に設定できますが、介護保険の補足給付を算定する場合は基準費用額(2026年8月から1,545円)を目安とします。補足給付を受けない一般利用者に対しては、事業所独自の設定(1,500円〜2,000円程度)となるケースもあります。契約時に確認しましょう。
Q. 処遇改善加算はなぜ上がるの?
介護職員の賃上げ財源として、国が加算率を引き上げる仕組みが令和8年度介護報酬改定で承認されました。2026年6月から処遇改善加算の率はサービス別に設定され、短期入所生活介護は加算Ⅰロで最大17.6%(訪問介護は最大28.7%)に引き上げられます。訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援(ケアマネ事業所)も新たに対象に加わります。利用者負担への影響は小さい一方、事業所の収入改善が期待されています。
Q. 見積もりは事前にもらえますか?
事業所と契約する際に重要事項説明書・料金表が提示されます。利用開始前にケアマネジャー経由で事業所に概算見積もりを依頼すれば、基本単位+想定加算+食費・居住費の合計を書面で出してもらえます。予算と施設を比較検討するときは、必ず見積もりを取ってからにしましょう。
出典:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和6年度介護報酬改定)/ 短期入所生活介護の基本単位数・加算/「特定入所者介護サービス費に係る食費・居住費の基準費用額等の見直し」(令和8年8月1日施行)/「介護職員等処遇改善加算」(令和8年6月施行)。本記事の数値は2026年4月時点で確認。地域区分単価・事業所個別の算定体制により変動します。