高齢者の転倒リスクと靴の関係
消費者庁のデータによると、65歳以上の救急搬送のうち約8割が転倒によるものです。転倒による骨折(とくに大腿骨頸部骨折)は、そのまま寝たきりにつながるケースも少なくありません。転倒予防は、高齢者の自立した生活を守るうえで最も重要な課題のひとつです。
転倒の原因は「筋力低下」「バランス機能の低下」「視力の低下」など複合的ですが、靴も大きな要因です。スリッパやサンダルはかかとが固定されないため脱げやすく、革靴はソールが滑りやすい、紐靴はかがんで結ぶ動作自体が転倒のきっかけになることがあります。
介護シューズ(ケアシューズ)は、こうした高齢者特有のリスクを踏まえて設計された靴です。一般的なスニーカーとは異なり、「かがまずに履ける」「軽い」「滑りにくい」といった特徴があります。
靴を選ぶ3つのポイント
1. ソールのグリップ力
靴底(ソール)の滑りにくさは、転倒予防で最も重要なポイントです。ゴム素材で凹凸のあるパターンが刻まれたソールは、濡れた路面や室内のフローリングでもしっかりグリップします。とくに雨の日の玄関タイル、スーパーの床、病院の廊下など、滑りやすい場所を日常的に歩く高齢者には必須の条件です。逆に、革底や平滑なプラスチック底は避けましょう。
2. 脱ぎ履きのしやすさ
高齢者にとって「かがむ動作」は転倒リスクそのものです。靴紐を結ぶためにかがんだ瞬間にバランスを崩して転ぶ事例は珍しくありません。面ファスナー(マジックテープ)式、スリッポン式、ファスナー式など、かがまずに脱ぎ履きできる構造の靴を選びましょう。履き口が大きく開く設計のものは、足のむくみがある方にも対応しやすくなっています。
3. 軽さ
靴が重いと、足を持ち上げる動作に余計な力が必要になり、つまずきやすくなります。片足200g以下を目安に、できるだけ軽い靴を選びましょう。軽い靴は疲れにくく、外出への意欲を維持する効果も期待できます。「靴が重いから外に出たくない」という声は、高齢者のご家族からよく聞かれます。
足のむくみは時間帯によって変化します。靴のサイズは、むくみが出やすい午後に合わせて選ぶのがおすすめです。また、左右の足のサイズが異なる場合は、大きい方に合わせましょう。
室内履きと外履きの違い
転倒事故は実は屋外よりも室内のほうが多く発生しています。フローリングや畳の上を靴下やスリッパで歩くと滑りやすく、特に夜間のトイレ移動時は危険です。室内用のケアシューズは、床を傷つけにくい素材で、かつ滑りにくいソールが付いています。
外履き用のケアシューズは、より強いグリップ力と耐久性が求められます。アスファルトやコンクリートの道路、雨の日の歩道でも安定して歩けるよう設計されています。室内用と外履き用は別々に用意するのが理想的です。
おすすめシューズ
かがまずに履けるスニーカーとして注目されているLAQUNをご紹介します。
LAQUNは「かがまずに履ける」をコンセプトにしたスニーカーです。独自のヒールカウンター構造により、かかとを踏まずに立ったまま足を滑り込ませるだけで履くことができます。紐を結ぶ動作もマジックテープを留める動作も不要なので、かがむことによる転倒リスクを根本から解消します。ソールには滑りにくいゴム素材を使用し、軽量設計で長時間の歩行でも疲れにくい仕様です。デザインも一般的なスニーカーに近いため、「介護用の靴」という見た目の抵抗感がなく、外出時にも自然に履けます。
まとめ
高齢者の転倒予防において、靴選びは見落とされがちですが非常に効果的な対策です。選ぶときのポイントは3つです。
- ソールのグリップ力 ── 滑りにくいゴム素材で凹凸パターンがあるもの
- 脱ぎ履きのしやすさ ── かがまずに履ける構造のもの
- 軽さ ── 片足200g以下を目安に
転倒による骨折は、高齢者の生活を一変させてしまう深刻な事故です。靴を見直すだけで防げるリスクがあるなら、試してみる価値は十分にあります。ご本人が気に入るデザインのものを選ぶと、外出の意欲向上にもつながります。
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