独自データ分析

「預けたいのに預け先がない」
ショートステイの地域格差

在宅介護を続ける家族にとって、ショートステイは数少ない「休める手段」。全国15,138施設を市区町村別に集計し、家族が休めない地域を特定しました。

15,138
全国のショートステイ
15倍
施設数の最大格差

ショートステイとは

ショートステイ(短期入所)は、要介護の方が施設に数日〜2週間程度泊まるサービスです。家族が旅行に行きたい、冠婚葬祭で家を空ける、あるいは単純に介護疲れで休みたい — そんなときに利用します。「レスパイトケア(休息のためのケア)」とも呼ばれます。

介護保険で利用でき、1泊あたり自己負担は1,000〜2,500円程度。しかし年末年始やお盆は予約が殺到し、普段でも人気施設は1〜2ヶ月前に満員になることがあります。施設数が少ない地域では、そもそも予約が取れない状態が常態化しています。

数字で見る格差

全国平均は65歳以上1万人あたり4.1施設。ゼロの市はありませんが、1万人あたり1施設を切る町があります。

最も少ない町
志免町(福岡県)
0.9
施設 / 1万人
最も多い市
潟上市(秋田県)
14.2
施設 / 1万人

ショートステイが足りない市 Top10

65歳以上人口1万人以上の市町村で、人口あたりのショートステイ施設数が少ない順のランキングです。

1
志免町
福岡県
65歳以上 11,177人
ショートステイ 1施設
1万人あたり 0.9
福岡市の南東に隣接するベッドタウン。1.1万人の高齢者に対してショートステイが1施設のみ。隣の宇美町もワースト2位で、福岡市南東部が広域的にショートステイ不足。
志免町の介護サービス情報
2
宇美町
福岡県
65歳以上 10,425人
ショートステイ 1施設
1万人あたり 1.0
志免町の隣。施設の受け皿分析でもワースト8位。ショートステイも入所施設も足りないダブルパンチ。施設系サービス全般が福岡市に依存する構造。
宇美町の介護サービス情報
3
浦添市
沖縄県
65歳以上 23,645人
ショートステイ 3施設
1万人あたり 1.3
特養分析でもワースト6位。沖縄県は入所系施設が全般的に少なく、デイサービスで在宅を支える構造。しかし家族が「泊まりで休む」選択肢が乏しい。
浦添市の介護サービス情報
4
千歳市
北海道
65歳以上 22,718人
ショートステイ 3施設
1万人あたり 1.3
新千歳空港のある街。若い世代が多いイメージだが高齢者も2.3万人。北海道は全体で1万人あたり2.9と全国ワースト1位タイ。札幌周辺の市が特に不足。
千歳市の介護サービス情報
5
狛江市
東京都
65歳以上 20,406人
ショートステイ 3施設
1万人あたり 1.5
東京都内で2番目に小さい市。面積6.4km²と狭く施設用地が限られる。東京都は1万人あたり2.9で全国ワースト1位タイ。多摩地域のコンパクトな市が特にきつい。
狛江市の介護サービス情報
6
調布市
東京都
65歳以上 52,816人
ショートステイ 9施設
1万人あたり 1.7
5.3万人の高齢者はTop10最大の規模。9施設あるが人口に対して全国平均の4割。隣の狛江市と合わせて多摩地域東部がショートステイ空白地帯。
調布市の介護サービス情報
7
貝塚市
大阪府
65歳以上 23,229人
ショートステイ 4施設
1万人あたり 1.7
特養分析でもワースト8位。施設系サービスが全般的に少ない泉州地域。大阪府は訪問介護は全国1位だが、入所・ショートステイは全国ワースト級。
貝塚市の介護サービス情報
8
あま市
愛知県
65歳以上 23,036人
ショートステイ 4施設
1万人あたり 1.7
特養分析でもワースト10位。名古屋のベッドタウンは入所系もショートも足りない。名古屋圏の在宅偏重構造の影響。
あま市の介護サービス情報
9
伊丹市
兵庫県
65歳以上 51,478人
ショートステイ 9施設
1万人あたり 1.7
大阪国際空港の西側。5.1万人の高齢者に9施設は全国平均の4割。調布市と並ぶ「人口規模の大きい市のショートステイ不足」。
伊丹市の介護サービス情報
10
小川町
埼玉県
65歳以上 11,108人
ショートステイ 2施設
1万人あたり 1.8
埼玉県西部の山間の町。秩父方面への入口に位置し、高齢化が進む地域。2施設では年末年始やお盆の予約は絶望的。
小川町の介護サービス情報

秋田県はなぜ充実しているのか

一方で、秋田県は1万人あたり9.4施設と全国1位。全国平均の2.3倍です。Top10の充実市にも潟上市・男鹿市・由利本荘市・仙北市と4市がランクインしています。

秋田の構造: 特養に併設されたショートステイが多い

秋田県は特養の数も全国上位。特養には併設型のショートステイが多く、特養が多い地域はショートステイも多くなる傾向がある。秋田県は人口減少率が全国最高だが、高齢者向け施設は手厚く整備されている。在宅介護の限界を自治体が認識し、施設で支える方針が反映されている。

なぜ不足するのか — 3つの構造

構造1: 大都市のベッドタウンに足りない

Top10のうち9市町が福岡・東京・大阪・名古屋・神戸の近郊。特養分析と同じパターン。住宅地として発展した地域には施設用地がなく、ショートステイの「泊まり」機能には一定の広さが必要なため、コンパクトな市ほど不利。

構造2: 東京と北海道がワースト県

東京都(2.9施設/万人)と北海道(2.9)が全国最低で並ぶ。東京は地価、北海道は広大な面積と人口減少が原因。両極端な地理条件だが、結果は同じ「足りない」に行き着く。

構造3: ショートステイは「あふれやすい」

特養は入所したら退所するまで使える。ショートステイは短期利用の「回転」で成り立っているため、お盆・年末年始・連休に予約が殺到する。施設数が全国平均並みでも、繁忙期には取れないことがある。平均以下の地域では、通常期でも取れない状態が常態化する。

都道府県別の充足率

都道府県1万人あたり評価
秋田県9.4全国1位
広島県6.9充実
山梨県6.7充実
香川県6.3充実
徳島県6.1充実
全国平均 4.1
大阪府3.1不足
高知県3.1不足
神奈川県3.0不足
東京都2.9全国最低タイ
北海道2.9全国最低タイ

ショートステイを探している方へ

ショートステイはケアマネジャーを通じて予約するのが一般的です。利用を検討している場合は、早めにケアマネに相談し、複数の施設を候補にしておくことをおすすめします。

繁忙期の対策として、年末年始やお盆の利用は2〜3ヶ月前に予約を入れる、複数施設に声をかけておく、併用できるデイサービスも確保しておく、といった方法があります。

お住まいの地域の介護施設を探す

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分析手法
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」に登録されている短期入所生活介護(11,313施設)・短期入所療養介護(老健併設3,698施設・病院等127施設)の合計15,138施設を使用。市区町村コードで集計し、総務省「令和2年国勢調査」の65歳以上人口と照合。ランキングは65歳以上人口1万人以上の市町村を対象とし、政令指定都市は市全体で集計。

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この記事は厚生労働省・総務省の公開データに基づく独自分析です。施設数は2026年3月時点の登録データであり、各施設の空き状況・予約状況は反映していません。
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