2026年6月の料金改定とは
2026年6月1日より、介護報酬の臨時改定が実施されます。介護職員の賃金引き上げへの対応として、介護職員等処遇改善加算の加算率引き上げが行われます。ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)も対象サービスに含まれます。なお、基本報酬自体の変更はありません。
・介護報酬の臨時改定(介護人材の処遇改善が目的)
・処遇改善加算の加算率引き上げ(基本報酬の変更はなし)
・処遇改善加算は2026年6月1日施行、食費基準費用額の見直しは2026年8月施行
・ケアマネは利用者への事前説明が必要
通常の介護報酬改定は3年に一度ですが、今回は急激な物価上昇と人件費増加を受けた臨時改定という位置づけです。ケアマネジャーは、利用者やご家族に対して事前に料金変更の説明を行う必要があります。
改定の背景
今回の臨時改定に至った背景には、介護事業所を取り巻く経営環境の急激な変化があります。
物価上昇の影響
2024年以降、食材費や光熱費の上昇が続いており、ショートステイ事業所の運営コストは大幅に増加しています。特に食事提供を伴うショートステイでは、食材費の高騰が経営を直撃しています。
介護職員の賃金引き上げ圧力
他産業との賃金格差が拡大する中、介護職員の確保・定着のために賃金の引き上げが不可欠となっています。今回の臨時改定では処遇改善加算の加算率引き上げが中心的な対応策です。
ショートステイ事業所の経営悪化
コスト増を吸収できず、経営悪化により廃止に追い込まれるショートステイ事業所が増加しています。在宅介護を支える重要なサービスが地域から失われるリスクが高まっていました。
通常の3年サイクルの改定を待てない状況と判断され、臨時改定という異例の措置が取られました。ショートステイに限らず、通所介護など他のサービスにも同様の改定が行われます。
具体的な変更点
今回の臨時改定では、基本報酬の変更はありません。変更されるのは処遇改善加算の加算率と、食費の基準費用額です。
| 項目 | 改定内容 | 施行時期 |
|---|---|---|
| 処遇改善加算 | 加算率の引き上げ(短期入所生活介護:最大17.6%) | 2026年6月 |
| 食費(基準費用額) | 1,445円/日 → 1,545円/日(+100円) | 2026年8月 |
| 基本報酬 | 変更なし | - |
| 滞在費(居住費) | 変更なし(多床室915円/日のまま) | - |
※処遇改善加算は事業所の取得区分によって加算率が異なります。基本報酬の単位数自体は変更されないため、負担増は主に加算率の変動分と食費の引き上げ分です。
利用者の負担額はいくら変わるか
改定による利用者の自己負担額の変化を具体的にまとめます。
・処遇改善加算の変動分:利用頻度・事業所の加算取得状況により異なる
・食費の引き上げ(8月〜):1泊2日で+200円(100円/日×2日)
・月4回利用の場合、食費だけで月額+約800円
・負担限度額認定を受けている方は食費の影響が軽減される
負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)を受けている方は、食費の自己負担が段階的に軽減されているため、今回の食費基準費用額の引き上げによる影響は比較的小さくなります。処遇改善加算の変動分は認定の有無にかかわらず適用されます。
2割負担・3割負担の方は、処遇改善加算の変動分の自己負担がそれぞれ2倍・3倍となるため、増加額が大きくなる場合があります。具体的な金額は利用している事業所の加算取得状況によって異なりますので、担当ケアマネまたは事業所に確認してください。
ケアマネとして利用者に伝えるポイント
利用者やご家族に対し、以下の手順で説明・対応を行うことが望まれます。
16月から料金が変わることを早めに伝える
5月中を目安に、担当利用者全員に料金改定の事実を伝えましょう。モニタリング訪問の際に説明すると自然です。
2具体的な負担増額をシミュレーションして見せる
「月に○○円くらい増えます」と具体的な金額を示すことで、利用者やご家族の不安を軽減できます。
3負担限度額認定の該当有無を確認
まだ申請していない方で該当する可能性がある場合は、市区町村への申請を案内しましょう。
4高額介護サービス費の申請を案内
自己負担額が月額上限を超える場合、高額介護サービス費の払い戻しが受けられます。対象となる方には申請手続きを案内してください。
5代替手段も提示する
負担増により利用回数を減らしたいという方には、デイサービスや訪問介護の組み合わせなど、代替プランの検討も提案しましょう。
予約済み利用者への対応
すでに6月以降のショートステイを予約している利用者への対応も重要です。
- 5月までに予約されていても、6月以降の利用分は新料金が適用されます。予約時の料金と異なる旨を必ず伝えてください。
- 事業所によっては重要事項説明書の変更が必要です。変更後の説明書に利用者の同意を得る手続きが求められます。
- ケアプラン上の自己負担額の修正が必要です。サービス利用票の金額を新料金で再計算してください。
- 利用者本人だけでなく、ご家族への電話連絡も併せて行うことが望ましいです。特に費用を負担しているご家族には丁寧に説明しましょう。
よくある質問
6月以前に予約したショートステイはどうなりますか?
予約した時期に関わらず、6月1日以降に利用する分は新料金が適用されます。5月31日までに退所する利用分は旧料金のままです。
負担限度額認定を受けている人も影響を受けますか?
処遇改善加算の変動分は認定の有無にかかわらず影響しますが、増加額は比較的小さめです。食費については、認定を受けている段階により軽減額が異なるため、個別に確認が必要です。なお、滞在費(居住費)は今回の改定対象外です。
ロングショートステイも改定の対象ですか?
はい、ロングショートステイ(長期利用)も同様に改定の対象です。長期間の利用では月単位の負担増も大きくなるため、利用者への早めの説明が特に重要です。
デイサービスも同時に改定されますか?
はい、通所介護(デイサービス)についても同時に臨時改定が行われます。ショートステイとデイサービスの両方を利用している方は、合計の負担増額を確認してください。
まとめ
2026年の臨時改定では、処遇改善加算の加算率引き上げ(6月施行)と食費基準費用額の見直し(8月施行)が行われます。基本報酬自体の変更はありません。食費は1日あたり100円の増加で、利用頻度に応じた負担増となります。ケアマネジャーは利用者・ご家族への説明を事前に行い、負担軽減制度の案内や代替プランの提案など、きめ細かな対応を心がけましょう。